葛原妙子さんの『葡萄木立』
月蝕を見たりと思ふ みごもれる農婦つぶらなる葡萄を摘むに
葡萄の季節。とりどりの品種が店頭にならぶ。
わたしはじつのところ、葡萄が苦手。あのおもおもとした重量感は、見てたのしいけれど、なんだか食欲がわかない。
ネオマスカットのあかるいみどりいろだけは、大好きだ。
名前はどれも綺麗。果物の名前は、薔薇や百合のそれにもまして、創作者のゆめを映す。
ロザリオ、という名前の葡萄をみて、ちょっとひるんだ。
とてもうつくしかったから。
食べてはいけないような気がして。
でも、キリストも「わたしの肉、わたしの血……」とパンと葡萄酒を聖別したのだから。
今日の主日ミサ、マタイ福音書から、「葡萄園ではたらかされた兄弟のたとえ話」が出た。
葡萄についてあれこれ思いながら、帰ってきた。