泰山木、朴(ほう)の木……どちらも夏に咲く。
訪問介護は、まるいちにち詰めっきり、というわけではないのだけれど、出たり入ったり、そのあいまに自分の家事をかたづけ、それから、あれとこれを済ませて……などなど、けっこうあわただしく、一日がまたたく間に終わる。
でも、今、このおしごとがあるから、いろんな刺激もあり、意欲もわき、考えたり困ったり、張り切ったり、心の弾力をうしなわないでいられる、と思う。
高齢者の方は、ワーカーそれぞれの性格をたちどころに見抜いてしまうそうだ。
わたしなど、どんなふうに見られているのかな、と心配になる。
今のところ、わたしのケアするどなたも、よほどのことがないかぎり、にこにこと応対してくださるけれど……。
あくまでも利用者さんの好みにあわせて、というのが鉄則。
言葉に出されないさきさまの……を推しはかりながら。とはいえ限られた時間内でできるかぎり手際よく、動きまわるのが精一杯、今のところ。
真夏には、一軒のケアを済ませると、Tシャツの背中までぬけるほど汗びっしょりだった。
その都度とっかえひっかえ着替えて、次のケアに走った。
今はそんなことはない。
家に帰って、すこし自分のことをして、ごはんをたべて、夫の夜食を作り終えると、このくらいの時間になる。
ほっとひといきつくと、疲れがそらから降ってくる、ような気がする。
ふっくらしたはなびらみたいな疲労だよ……と思いなすと、気持ちがいい。