プラチナ世代のマラソン旅行

時悠人chosan流処世術

★オリンピック候補地決定に思う

2006-08-31 09:10:27 | 日記・エッセイ・コラム

 日本オリンピック委員会(JOC)は30日、2016年夏季五輪の立候補都市を東京都に決定した。財力と知名度で福岡市を上回ったということだろうが、世界各国との戦いが待っており、これからが本番だ。

 東京での五輪開催が、2度目であることや北京五輪後の短いサイクルでのアジア開催等、ハードルは高い。更には、前回は戦後の復興振りと本格的な国際社会への復帰を国内外にアピールする意味合いで、大きなインパクトを持っていた。

 ついては、東京招致の基本戦略を早急に構築しないと、現在進行中の中央と地方の格差がより顕著になり、東京一極集中に拍車をかける危険性がある。試算では、東京だけで1.5兆円、日本全国で3兆円規模の経済効果が見込まれるとか。数字の真偽は別として、国全体で考えるべき問題なのは明らかだ。 世界情勢を勘案すると、私は消極的な見方しか出来ない。

 そこで提案だが、南米やアフリカでの開催が一度も無いことを考えると、IOCは五輪マーク通り「持ち回り開催」するルールを検討したら如何だろうか。5大陸内で、開催国を互選すれば、大陸内各国の連携も緊密化するし、招致活動のための投資も抑制される。

 東京では、招致活動経費として55億円を用意するようだが、過去、名古屋と大阪が国内で五輪候補地となりながら、敗れた。大阪は招致活動費として40億円を投じ、無駄に帰した。経済効果だけでなく、明確な開催目的を確立し、広く国民に訴えないと東京開催も同じ轍を踏むことにならないかと危惧している。


★平和と安全の対価はハウマッチ?

2006-08-30 10:25:52 | 日記・エッセイ・コラム

 小松航空自衛隊から新たに3人の隊員をイラクに派遣する”見送り式”の模様がテレビ画面に映った。通算60名を超え、もはや見慣れた光景になったとのアナウンスを聴き、はっとした。中央のニュースでは、もう取り扱われないが、依然として日本各地の航空自衛隊から支援活動に召集されていることを迂闊にも失念していた。

 陸上自衛隊は撤退したが、空輸支援はいつまで続くのだろうとの疑問がわいた。2004年1月に派遣以降、復興支援活動は一定の役割を果たしたとして、自分の任期中に陸自撤退を実現出来ることを嬉しいと語った小泉首相。だが、空自はアメリカの後方支援活動を拡大・継続している。陸自・空自とも、イラク政府への治安権限委譲がターニング・ポイントになると理解していた私が愚かだったようだ。

 さて、自衛隊を派遣する際、「平和と安全を享受するためには、しかるべき対価を支払わなければいけない」と力説した小泉首相だが、その対価は一体全体いくら位を考えているのだろうか。国力に応じた応分の負担額を示して欲しい。日米同盟の美名のもとで、際限なく続く支援活動を見せ付けられると、政府には隠し財産があるのではないかと疑心暗鬼にかられてくる。


★メディアの功罪

2006-08-29 09:34:55 | 日記・エッセイ・コラム

 今朝、東京歌舞伎座で開催された映画の試写会のTVニュースが流れた。会場に安倍官房長官の姿があった。「あれっ!」と思わず画面を凝視してしまった。そして、いつもの悪い癖で、あれこれ背景を模索し妄想した。

 最近、政治家がメディアの偏向、或いは、面白おかしく騒ぎ立てると口にすることが多い。とりわけ、マスコミを最大限利用してきた大物政治家が、自分に不都合な発言をメディアに責任転嫁するのをみると、無性に腹立たしい。リアリティはテレビの特性でもあり武器でもある。政治家がテレビの政見放送だけでなく、バラエティ番組にも登場するようになったのも、その威力を利用するのが目的。しかし、不都合な言動が映像として流されると、とたんに態度が豹変するのは身勝手というものだ。

 さて、W杯サッカーでのジダンの頭突きシーンやボクシングの亀田の人を食ったような態度、或いは、甲子園のスターとなった祐チャンのハンカチシーン等々、対比し繰り返し見せられると、固定観念が出来上がる危険を感じる。しかも、一部の映像を切り取り・編集し、何度もリピートする手法は時には嫌悪感をもよおす。

 新聞・雑誌類は視覚に、ラジオは聴覚に訴えるが、テレビ媒体は両方を同時に刺激するので、インパクトが強くなるのは当然だ。 ビジュアル主流の時代においては、テレビの影響力が大きいだけに、報道姿勢が世論形成上、如何に重要かを関係者は心しておくべきだ。要は、番組の企画・編集者の知性とモラルが問われることになる。


★統計アラカルト:出生率回復?

2006-08-27 09:33:27 | 日記・エッセイ・コラム

 先日、厚生労働省が発表したところによると、今年1月から6月までの出生者数が、昨年同期比で1万人増加した。また、この間の結婚数も増えている。長く続いた少子化傾向に歯止めがかかると期待する向きもあるようだが、果たして政府の少子化対策の成果が出たのだろうか?

 このまま推移すれば、年間出生者数は対前年を上回ることになり、喜ばしい。詳しい分析を急いで欲しい。そうすれば、有効な少子化対策が見えてくるはずだ。

 一方、医師や看護士不足が社会問題化しており、隠岐島では産医師不在で鳥取市の病院で出産する妊婦の費用支援を打ち出した。日本の医師・看護士数は、本当に少ないのだろうか。人口1000人あたりの医師の数を比較すると、1位はイタリア、2位ロシア、3位ドイツで以下、アメリカ、カナダと続き、日本は7位。一方、看護士の数では、1位ドイツで2位カナダ、3位イギリスで日本は4位、アメリカが5位になっている。

 この数字だけみると、我が国の医師・看護士は決して潤沢とは言えないが、極端に少ないわけではない。ところが、別のデータとセットでみると、問題点が浮き彫りになってくる。それは、病床数だ。これも人口1000人あたりでの比較だが、日本がダントツの1位だ。ドイツ・フランスの約2倍、アメリカ・カナダ・イギリスの約4倍にもなる。

 つまり、少ない医師と看護士で多数の病人を診ている実態が分かる。世界一長寿国というが、病める人が多いのでは本当に幸せな国と言えるのかどうか。少子高齢化問題の根底には、都市部と地方間での医療体制の格差が横たわっている。

 マクロデータでしか国を考えないようでは、国民が真に豊かな生活を享受出来ないことを政府は真剣に考えるべきではないのだろうか。


★統計アラカルト:フリーター迷走

2006-08-26 10:35:02 | 日記・エッセイ・コラム

今年の「経済財政白書」に“所得格差”に関する記述が登場した。5年半にわたり小泉内閣が推進してきた政策の負の遺産を自ら認めたことになる。

私の関心をひいたのは、20歳代から30歳代前半の層で、格差拡大の度合いが大きくなっていること。バブル崩壊後、日本経済が深刻なデフレに陥り、各企業はリストラにつぐリストラで経営改善に努めたが、その過程で犠牲になった年代層が彼らだ。

企業の経営改善策は、冗費の節約ではタカが知れており、人件費の削減に集中した。社員を解雇し、新規採用を抑制する過程で、低賃金のパートや派遣社員を雇用調整弁として活用したため、派遣社員制度は新しい雇用形態として市民権を得、あっという間に定着した。景気が回復すれば救済できると考えるのは余りにも楽観的で、新卒者の就職率は向上するが、非正規社員は年齢的なハンディを負うだけに、正規社員への扉は狭く、5年・10年後には中年フリーターがあふれる危険性がある。

                                       

政府は、将来の財源不足の観点から社会保険の対象拡大を検討中のようだが、これでは会社の負担増になるだけでなく、正規社員との処遇格差は埋まらず、抜本的な解決策にはなるまい。政府が彼らにどのような有効策を講じるかを注目したい。