高校の必修科目履修漏れ問題は、全国に拡大し終に校長の自殺事件まで発生した。国会でも、本問題といじめ問題の原因究明と責任問題が集中論議されている。さまざまな要素が複合して必然的に発生した事象であり、底辺には大人社会における相互依存と無責任体質が横たわっていることだけは確かだ。
しかし、今さら既卒業者の未習者の実態調査をしてどういった利益が期待出来るのだろう。また、受験時期を控え、真面目に必修科目を履修した生徒の不公平感をどう払拭するのか。卒業までの限られた時間との勝負だけに、数十時間の補修授業は大変で、現実的な対応が必要だ。
そこで、矛盾を承知での提案だが、補習授業はせずに卒業資格を付与したらどうだろう。その代わり、生徒には10時間なり20時間の時間を拠出させ、地域貢献活動に従事してもらうのだ。福祉施設や公共の場での清掃活動でも良い。或いは、小中学校の生徒の安全補助活動でもよい。今の日本人に欠けている公徳心や公共の秩序をどうすれば、取り戻すことが出来るかを考えさせれば、陰湿ないじめも減ると確信する。
単位取得のために丸暗記する学習よりもはるかに有意義な教育だと思うのだが、超法規的な判断を下すべきだ。そして、過去は不問にして、文科省、教育委員会と学校現場、更には家庭まで含めた教育のあり方の根本を真摯に見つめ直す好機と捉えて欲しい。