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時悠人chosan流処世術

★覇者誕生の勝負の機微

2007-08-23 10:10:19 | 日記・エッセイ・コラム

 第89回夏の高校野球決勝戦。今年の大会で初めて、試合開始からゲームを観た。が、広陵高校の毎回の猛攻を凌いでいた佐賀北が、7回表に2点の追加点を許したとき、勝負あったと判断し、テレビを消しラジオに切り替えた。

 高校野球を観戦するとき、私は、自分とのつながりで応援チームを決めている。北陸代表の3校は、初戦で早々と姿を消したが、福井商業の相手が佐賀北だった。次に、妻の出身地の前橋商業を応援したが、佐賀北に破れた。

 お盆休みに帰省した長女の夫君は、元高校球児で、夫婦揃って帝京びいき。その帝京も佐賀北の”がばい旋風”に吹き飛ばされた。そうなると、決勝戦では広陵に仇をうって欲しいところだが、天邪鬼の私は、名門で前評判の高い広陵よりも、にっくき筈の無名の佐賀北を応援した。

 8回裏の攻撃が始まるとき、なぜか、テレビのスイッチに手が伸びた。先頭打者の久保投手がチーム2本目のヒットを放った。必死に走る彼の形相に鬼気を感じたが、球場はまだ静かだった。次打者が続くと、にわかに三塁側応援席が活気づいた。

 一死満塁で、きわどい判定の押出し四球で1点を返したとき、勝利の女神は完全に佐賀北にひいきをした。それまで微妙な判定にも笑顔を絶やさなかった野村投手が、「えっ!まさか?」の表情を見せた時、劇的な逆転ドラマの幕が開いた。副島選手の満塁ホームランは、”添(副)え物”のように思えた。熱狂するスタンドの光景を見ながら、私の心は遠くで”因縁”めいた雷鳴を感じ取っていた。