団塊的“It's me”

コキロク(古稀+6歳)からコキシチ(古稀+7歳)への道草随筆 2週間ごとの月・水・金・火・木に更新。土日祭日休み

♪車を売るなら~♪

2023年07月28日 | Weblog

  テレビから頻繁に流れる「♪車を売るなら~♪」の宣伝歌。ある時期からまったく聞かれなくなった。ニュースでその会社が保険金不正請求していたらしいと知った。

 テレビやラジオの宣伝を観察すると、何となく世の中の様子をうかがい知れるような気がする。

 今でもラジオでは、ほとんどの番組の広告主が、過払い金とB型肝炎と相続税関係のものである。テレビでは、サプリメントの世田谷食品と通販のジャパネットが相変わらずどこの局でも放映回数がダントツに多い。広告宣伝が悪いと言っているのではない。企業が利益をあげるために、広告も必要であろう。私の経験から言えば、広告宣伝は、企業にとって売り上げを伸ばす良薬でもあり、一方企業を破滅に追い込む毒でもある。下手をすると広告宣伝費を支払うために、自転車操業に陥ってしまう。広告宣伝を注意してみていると、浮き沈みがわかる。

 私の好きな番組に毎週土曜日午後6時から放送のTBS『世界遺産』がある。以前、スポンサーはソニーだった。一時期ソニーの業績が芳しくなくなった時、スポンサーがソニーからキャノンに変わった。ソニーのコマーシャルは、洗練され斬新だった。ところがキャノンに変わるとコマーシャルは、同じものを何年も使っている。地味だ。企業の体質や風土が出る。ソニーやキャノンのような大企業でさえ、広告宣伝費で苦心している。司法書士事務所やサプリメントの通販会社が、今のように過剰な広告宣伝をしていると、どのように広告宣伝費を捻出しているのか、他人事でも気になる。

 立身出世は、多くの人々の願いである。私もそうだった時期があった。口コミだけで運営が成り立ったはずなのに、塾を大きくしようと、宣伝広告に打って出た。英会話の外国人講師や英語以外の教科の教師も大勢雇った。結果は、広告宣伝費と人件費のために運営を続けるという悪循環に陥った。なかなかその状態から抜け出せなかった。大きな犠牲を払って、やっと決心した。塾を私ひとりで教えるように変えた。広告宣伝費で積みあがっていた借金も数年で完済できた。

 馬力があって、走っている台数も少ない高級車を持ちたいという見栄と同じで、自分の会社や事業を大きくしたい願望がある。地味で地道な生き方を嫌ってしまいがちになる。失敗を繰り返して、やっと自分の間違いに気づく。私も40歳を超えて、人生をやり直した。妻の支えがあったからこそである。

 「♪車を売るなら~♪」の会社の社長の記者会見をテレビで観た。まるで戦国時代の木下藤吉郎のような人だと思った。山口県の小さな自動車販売会社を大企業にまでした成功した人物である。事業には成功しただろうけれど、社長自身を含めて人に失敗したと思う。特に後継者としての息子。今、人の上に立つ者の息子たちに問題が多い。日本の岸田首相、アメリカバイデン大統領の息子など。武田信玄は、人は城 人は石垣 人は堀 情けは味方 仇は敵なりと言った。上に立つ人間には、武田信玄なみの人間力が必要だ。

 会社の経営どころか、人の上に立つこともできなかった私である。しかし私は妻に救われた。妻のお陰で人間としての敗者復活を成し遂げたと信じている。今思うのは、妻は城 妻は石垣 妻は堀。 

この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 若い命と水難事故 | トップ | 雨も降らぬに傘をさす »
最新の画像もっと見る

Weblog」カテゴリの最新記事