団塊的“It's me”

喜寿老(きじゅろう77歳)の道草随筆 月・水・金の週と火・木の週交互に投稿。土日祭日休み

セカンドライフ問題 夫婦旅行①

2007年06月04日 | Weblog
 夫婦で旅行を楽しむ方が増えた。
 私が高校1年生の時、英会話と聖書の勉強会で学んだ。先生はアメリカ人女性のネルソンさんだった。旦那さんが定年退職して、ダウン症の26歳の娘さんと3人で世界一周の船旅の途中、1年間日本でキリスト教の宣教師として活動した。当時、アメリカ人は退職後、まず夫婦で長い海外旅行にでるのが一般的だったが、日本人はせいぜい国内の温泉旅行で、それでも行ければ良いほうだった。私の両親は、4人の子育てでそれどころではなく、二人で旅行に出かけたことはなかった。それが今では海外旅行も当たり前である。

 団塊世代の夫婦旅行が更にグレードアップして、ただの『どこそこへ行ってきた』旅行でなく、二人しかできないユニークな旅行をして欲しい。私が出会った夫婦旅行のひとコマを紹介する。

 心臓バイパス手術の術後検診を受けるために、日本へ一時帰国することになった。パリで全日空便に乗り換えた。隣が日本人のおじいさんだった。耳に補聴器をつけていた。七十歳ぐらいかなと感じた。明るい感じの良い方だった。離陸して機内も落ち着いてくると、おじいさんは私に話しかけてきた。 東欧諸国を奥さんとツアーに参加して、回ってきたと言った。ずっとポーランドのアウシュビッツ収容所跡を訪れ、お参りしたいと願っていて、やっと実現できたと喜んでいた。場所が場所だけに正直それを聞いて驚いた。年齢を聞いてもっと驚いた。八十四歳だそうだ。

 夕食の時間になった。アテンダントがフランス人で、日本語が話せなかった。おじいさんに英語で夕食は、洋食と和食どちらにしますかと聞いた。私に通訳してくれと頼んだ。十日間も日本を離れていれば、当然和食を頼むと思った。「洋食をお願いしますか」と言った。ワインを飲み、出た料理も全て残さずきれいに食べた。デザートもぺろりと食べた。食後のコーヒーも飲んだ。話も盛り上がっておもしろかった。 映画上映時間になった。どんな映画をやるのか私に尋ねた。プログラムを見て教えてあげた。

 「もう見た映画なので、寝ます」と言った。シートを倒して、彼は寝る体勢に入った。数分後、軽い鼾をかいていた。 私は、術後検診が心配で眠れず、結局三本の映画すべてを観た。しばらくウトウトすると、機内の灯りが点灯されて、朝食の時間になった。

 隣のおじいさんは、爽快な顔で目を覚まして、「よく眠むれました」と言って、伸びをした。朝食もきれいに食べた。そして日本での生活の話を聞かせてくれた。長生きも健康なら良いものだと思った。無事成田に着陸して、飛行機を降りる時、奥さんから「お爺守ありがとう、お陰で久々に良く休めました」と言われた。 (写真:ネルソン一家の横浜出港風景、アメリカン・プレジデントライン)
この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 辞世問題 父の辞世 | トップ | セカンドライフ問題 夫婦旅行② »
最新の画像もっと見る

Weblog」カテゴリの最新記事