団塊的“It's me”

喜寿老(きじゅろう77歳)の道草随筆 月・水・金の週と火・木の週交互に投稿。土日祭日休み

セカンドライフ問題 夫婦旅行②

2007年06月04日 | Weblog
  スイスのピラトゥス(別名ドラゴンマウンテン)へ登る登山電車の中で、イスラエルから来た夫婦と一緒になった。私達はセネガルのダカールから来たと言った。若い時、砂漠の緑化事業でセネガルに派遣されたと言って、私たちに関心を持ち、こんな話をしてくれた。 

 「イスラエルは、人が住んで農業ができるような所に出来た国ではない事は、ご存知ですね。やればできるのです。砂漠だってちゃんと農地になります。日本へもイスラエルから、たくさんグレープフルーツを輸出していますよ。私達が砂漠を緑地化して農地に変えて、そこで作っています。グレープフルーツだけではありません。小麦、野菜、花だって育てています。私は、セネガルで緑化事業をやって思いました。砂漠を砂漠にしているのは人間です。止める方法があってもできない。人間があの砂漠を緑豊かな農地に変えて、自分たちはもっと楽に暮らせるようになりたいと、情熱を持たなければできません。国が、国民の先頭に立たなければできません」 

 隣で奥さんが、そうだそうだと頷いている。 「結局は教育です。セネガルでそう思いました。どんなに私たちが一生懸命教えても、教わる人たちは、自分でやろうとは思いません。他の人を働かせます。それは、その人が悪いのではありません。社会の仕組みが、そうなってしまっているのです。そんなことをしていたら、砂漠はずっと砂漠のままです。それどころか、砂漠は拡大します。不思議ですよ、緑化もある面積を超えると、自然に拡大を始めます」 今度は私と妻が大きく頷く。 

 「日本もある意味で、社会主義国家と学びました。イスラエルしかり。自分の手で働く人々がいて、国家を愛して、国の発展を願うからこそ、敵と砂漠と戦うのです。日本は美しい緑の国と聞きました。イスラエルにできて、他の国にできない事は有りません。今でもイスラエルの若者は、各地の砂漠で緑化事業を支援しています。ヨーロッパに来て思いませんか?人間は本来緑豊かな地に住むべきだと。日本も美しい緑の国と聞いています。ばあさんといつか行って見たいです」 そう言って、彼は奥さんの手を強く握った。

 私達夫婦もニンマリ、顔を見合わせた。旅は出会い、夫婦で旅すると、夫婦の旅人と簡単に仲良くなれる気がする。
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