団塊的“It's me”

喜寿老(きじゅろう77歳)の道草随筆 月・水・金の週と火・木の週交互に投稿。土日祭日休み

永久脱毛に逆さまつ毛

2015年08月14日 | Weblog

  目が痛い。チクチクする。またか。

 幼い頃から私のまつ毛は短かった。私の身体の部位で長ければ、太ければ、大きければ、少なければ、白ければ、褒められるはずが全て逆の結果が出ている。まつ毛は歳をとったら更に短くなった。それだけでなく抜け落ちて、まつ毛の総数は減るばかりである。数が減るだけなら我慢できる。まつ毛は外に向かって生えるのが自然だ。私のまつ毛は時折、内に向かって目の玉を突こうとする。目の周りの神経は敏感なのか、逆さまつ毛は爪の周りのササクレに負けず劣らず私をイライラさせる。取り除くことは難しい。眼科医に取ってもらうのが安全だというが、以前首周りの老人性イボのことで皮膚科に行ったら医者に「このいそがしいのにこんなことで来るな」とひどく叱られた。それ以来「こんなこと」とそうでないことの区別ができない。

 最近、鏡を見るのは逆さまつ毛を探すときぐらいになった。鏡で目の周りを見て逆さまつ毛を探すのは難しい。私の目が近眼で老眼だからである。近視用メガネ、老眼鏡、虫眼鏡を使い分けなくてはならない。鏡に映る像は実際とは逆である。この複雑な鏡の画像に対してメガネと虫眼鏡を器用に使い分けなくてはならない。鏡を使って逆さまつ毛を発見したことは数回しかない。最近では皆無。

 テレビのコマーシャルに女性化粧品に関するものが多い。私が不思議でならないのは、ツケまつげを上目蓋の隙間にくっ付けるのと、まつ毛に黒い液体を塗ってまつ毛を目立たたせる行為である。テレビコマーシャルに出てくる女性のまつ毛はまつ毛の上に鉛筆を横にして乗せることができるくらい長くて適度に上に曲がっている。本物なのかツケまつげなのかはたまたエクステンションという自前のまつ毛に付け足して長くした一部自毛その先人造なのか定かではない。

 人間の身体に生える毛はそれぞれ異質らしい。ヒゲは毎日伸びる。頼むからもう伸びないでと願っても伸びる。髪の毛は頼みも願いもしないのにどんどん薄くなる。鼻毛は老いてますます成長を速め、生える密度を高めている。理髪店で聞いた話では耳の中にびっしり毛が生えている男性もいるそうだ。

 自分の体に惜しみなく金をかける人々がたくさんいる。女性の化粧、整形美容、脱毛、美白。顔の皮膚をすべて剥いで肌を変えるピーリングのいう方法は数百万円費用がかかるそうだ。実際にそれを受けた女性に話を聞いたことがある。肌がどうだこうだと言うより、その女性への勇気というか美しくなりたいという執念に恐れ入ったものだ。男性は圧倒的にカツラに金をかけるそうだ。テレビのコマーシャルを観ていれば、どのようなことに人々がお金を使っているかわかる。個人の価値観の問題であろう。私はカツラを付けない。脚や脇の下の脱毛もしない。髪の毛はちゃんと自分で永久脱毛最終段階に突入している。テレビ東京の『開運 なんでも鑑定団』鑑定士の中島誠之助さんの「いい仕事してますね」を真似て言ってみたいほどである。眉毛はまつ毛と反対である。村山元首相ほどではないが、左右両側の眉毛5,6本が異常に著しい成長を遂げる。床屋で行くたびに切りそろえてもらうが、2,3箇月放っておいたらどうなることやら。

 自分の身体のことでさえ思い通りに事は運ばない。理解できない多くの身体の現象や変化を神秘と捉えて感心しているしかない。老化による体の随所の変化を受け入れる。病気の治療と予防はできるかぎりやってみる。それもダメなら白旗あげて退散する。

「身体のどこにも人工的な永久などという小細工を施させない。何もつけ足さなくていい。このまま、そのまま、あるがまま」

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