団塊的“It's me”

喜寿老(きじゅろう77歳)の道草随筆 月・水・金の週と火・木の週交互に投稿。土日祭日休み

飛行機内での騒動

2024年02月19日 | Weblog

  再婚した妻とまだ結婚していなかった時、妻がオーストラリア留学から帰国する際、私はマレーシアまで迎えに行った。彼女がオーストラリアからマレーシア航空で帰国するので、それに合わせて便を予約して、マレーシアで再会することにした。シンガポールから飛行機を乗り換えて、クアランプールへ向かう機中で、機体中央の席に乗っていた男性が、突然立ち上がり奇声を発した。シンガポールからクアランプールへの飛行時間は、約1時間と短い。離陸して上昇して安定飛行に移った直後、中央付近の男性が立ち上がり、「ギャァーーーー」と奇声を上げた。機内が一瞬「シーーーーン」と静まり返った。しかし何もなかったようにまた元に戻った。機内乗務員も取り立てて何か行動するわけでもなく、普通に振舞っていた。着陸するまでにその男は、計3回奇声を上げた。ボーディングブリッジが接続され、ドアが開けられた。乗客が降り始めた。私は、奇声を上げた男性を見ると、スーツを着た何の変哲もない人だった。驚いたことにまったく何事もなかったように静かに並んで機内から外に出て行った。その男性の行動、態度にも驚いたが、乗務員や乗客の態度にも驚いた。もしかして彼は、マレーシアで有名な人、政治家、俳優だったのかと思った。しかしあの「ギャァーーーー」の声は、ムンクの「叫び」の絵と合わせて、私の夢の中に、今でも時々登場する。

 最近ニュースで飛行機内での騒動の報道が増えてきている。羽田空港からアメリカ・シアトルに向かっていた全日空機内で、アメリカ人の男が客室乗務員の腕にかみつくなど暴れ、羽田空港へ引き返した。羽田で警察に引き渡された。男は、睡眠導入剤を服用して、その後の行動に覚えがないと言っているそうだ。

 タイでは飛行機が飛行中、機内で生きた蛇が見つけられて、乗務員が取り押さえたという。蛇がどうやって機内に入り込んだかは不明。アフリカにいた時、現地駐在の商社員がローカル航空に乗って出張した時、機内に生きたニワトリを持ち込んだ女性がいたという話を聞いた。私は、セネガルからパリ行きの便に、魚を入れた黒いビニール袋を持ち込んだアフリカ人女性を見たことがあった。

 アリゾナ州フェニックスからテキサス州オースティンに向かうアメリカン航空の飛行機が、乗客のおならが原因でゲートへ引き返す騒動があったという。目撃者によると、離陸前、明らかに不機嫌で二日酔いのような状態の成人男性が、「俺が失礼だって?じゃあこの臭いはどうだ?」などと言いながら、大きな音でおならをしたという。幸い、私は、蛇にも機内での喧嘩やおなら騒動に出くわした経験はない。飛行機に乗っていて、何度か事故に遭いそうになったが、いまだ無事に生き延びている。

 乗務員の仕事は、大変だと、これらのニュースを読むたびに思う。1月2日の海上保安庁の飛行機と日本航空の飛行機の衝突事故で、乗務員の冷静な誘導で、乗客全員が脱出できたのも日頃の訓練だったと言われている。飛行機機内は密室である。ハイジャック、テロ、犯罪、騒動が起こっても、機内で対応しなければならない。安全対策に期待したい。

 私は、おそらくもう飛行機に乗って、どこかへ行くこともないだろう。飛行機の旅が、奇声、暴力、蛇、おならなどの諸問題を臨機応変に解決され、楽しく安全であることを祈る。


  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする