数日前、テレビのニュースで「干し柿など加工食品のオーナーになると利息が得られるとうたって多額の資金を集めた通信販売会社「ケフィア事業振興会」(東京都千代田区、鏑木(かぶらき)秀弥社長)が、オーナーに対する支払いを遅延しているとして、消費者庁は31日、消費者安全法に基づき事業者名を公表した。支払い遅延による同法の適用は初めて。ケフィアは消費者庁に対し、未払い分は全国で約2万人、約340億円に上ると説明。遅延理由としてシステム故障や解約による資金減少を挙げているという。」と放送された。
「ケフィア?」 どこかで聴いたな~。私は毎日「この顔どこかで見たな~はて何という名だったっけ?」「これと同じような話、確か本で読んだな~誰の何ていう本だったかな~」などと自分の記憶に対峙している。井上陽水の『夢の中へ』ではないけれど「♪探し物は何ですか?………探すのをやめた時、見つかる事もよくある話で……♪」の夢と現実を行きつ戻りつする。探し物は見つかった時の喜びが大きい。記憶がよみがえった時は、もっと嬉しい。
私は「ケフィア」を思い出した。解決のきっかけは、「メープルシロップ」だった。以前「ケフィア」という会社でメープルシロップを買った。買った理由は、「カナダ大使館」が関わっていると私が受け取ったからである。カナダと聞くと私は自己制御不能状態になってしまう。思い入れが強い。カナダの学校へ留学する以前、留学ビザを得るために東京のカナダ大使館へ何度か軽井沢から通ったことか。そんなことから私は一方的にカナダ大使館に想いを寄せてしまう。もし私が物事に論理的に対応できるなら、カナダ大使館に「ケイファとの関係」を問い合わせたであろう。届いたケフィアのメープルシロップには、カビのようなものが表面にあり捨てた。私は執念深い。期待を裏切られると相手を無視する。ケフィアからその後モノを買ったことはない。今回の訳の分からないネズミ講まがいのオーナー制度やらの勧誘の郵便物も一度も封を開けることなく裁断機で粉砕していた。
私はメープルシロップが好きだ。カナダに、『Pigs in blanket』(毛布にくるまった豚)というパンケーキが有名なチェーン店『The original House of Pancakes』があって、そこでパンケーキを食べるのが何よりの楽しみだった。毛布にくるまった豚も好きだったが、普通のパンケーキにたっぷりメープルシロップをかけて添えられたカリカリのベーコンと食べる朝食セットが忘れられない。
カナダ大使館がどうのこうのの宣伝文句にまんまと騙された私は、その後メープルシロップは近くの成城石井でカナダ産のモノをずっと買っている。友人の娘さんがカナダに嫁いでいて年に数回帰国するたびにメープルシロップをお土産に持ってきてくれる。成城石井のメープルシロップにも友人の娘さんからいただくメープルシロップにもビンの中に白い浮遊物を見つけたことはない。
オーナー制度に加入した約2万人の340億円もの未払金がどうなるのかわからない。おそらく全額返済とはならないであろう。この手のうまい話の結末は、いつもうら悲しい。騙す側と騙される側。毎年こう言った投資話でどれだけの人の虎の子が消えてしまうのか。気をつけよう、甘い言葉(うまい儲け話)と暗い道。