団塊的“It's me”

喜寿老(きじゅろう77歳)の道草随筆 月・水・金の週と火・木の週交互に投稿。土日祭日休み

連休の遠慮へのご褒美

2016年05月06日 | Weblog

  妻が3,4,5日と3連休になった。私は普段家にいる。妻は病院勤務で週日は毎日遠距離通勤している。休日、妻は家にいたいと言う。私は妻と出掛けたい。お互いの主張がぶつかる。

 結局出掛けたのは、3日だけだった。近くの“武者行列”を見物に行った。会場は市街を一周する大規模なもので、城蹟公園が主会場だった。城まで行ってみることにして、歩き始めた。もの凄い人でに私は酔ったような気分になった。気温が高かった所為もあるが正直言うと人混みに弱い。毎日自然あふれる我が家がある町から人、人のコンクリートジャングルに通う妻の「家に居たい」気持ちがよくわかる。白旗を上げて正午過ぎに帰宅することにした。駅も大混乱していた。ホームは13時に始まる武者行列を観ようと電車が到着するたびに新たな人波が押し寄せた。ホームも人でいっぱい。改札に向かう人の流れに逆らって7号車付近の乗降口に進もうとするが、何度も立ち尽くして人の波をさけた。

 落ち着くと場内アナウンスが耳に入る。「本日人身事故により列車が遅れています。大変申し訳ございません。ただいまのところ約50分遅れての運転になっております。電車到着までいましばらくお待ちください」妻が言った。「今日はついていないね」

 4日も5日の子供の日の朝も、私たちの口から「出掛けたい」「家に居たい」の言葉はなかった。5日朝、妻が台所のビン類を保管している戸棚を掃除整頓したいと言った。私は手伝うことを嫌と思わなかった。3日の失敗がそう思わせたに違いない。ベランダのペンキ塗りに続いて家の事をする。私たちには連休をこうするのが向いているようだ。もう若くない。連休の民族大移動的な行楽は若い人々に譲りたい。若いうちにいろいろな行楽地を家族と一緒に訪れる。私もそうしてきた。私の二人の子どもも、今まさに子育てに明け暮れている。連休には彼らも計画があるのだろう。もうしばらく孫たちにも会ってない。そんなことを思いながら戸棚からビン類をすべてだしてカウンターの上に並べた。

 まず賞味期限をチェック。あるある賞味期限切れ。これでは冷蔵庫と同じである。油類は鍋に入れ温めて“固めるテンプル”を投入。油だけでも相当な量だった。酒類も多いが、酒に賞味期限はない。それに我が家の酒類は好成績で順調に消費されている。回転が良い。妻はよく私を調味料集めが趣味だと決めつける。妻も私もサシスセソ(砂糖、塩、酢、醤油、味噌)だけの調味料しか使わない家庭に育った。私は主夫になってから料理を学んだ。本格的にフランス料理も先生について学んだ。中華、イタリアンも妻の海外赴任地での郷土料理も料理本や家事手伝いの人から教わった。サシスセソだけでもはや料理することはない。その結果がビン類保管戸棚に詰まっている。

 約2時間妻と作業した。残す物、捨てる物。ビンとプラスチックの仕分け。捨てる物からラベルやラップを剥がす。水にしばらく漬けて剥がすものもある。何回かゴミ集積場に運ぶ。すっかり整理整頓されて戸棚の中は光輝いた。電話が鳴った。

 友達夫婦からの電話だった。「風も収まったので今日の夜、家でバーベキュー一緒にいかがですか」 私たちはこれは連休に出掛けることを遠慮したご褒美だと有難く招待を受けた。気が合う友との時間を私たち夫婦は満喫した。最高の連休の締めくくりができた。


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