団塊的“It's me”

喜寿老(きじゅろう77歳)の道草随筆 月・水・金の週と火・木の週交互に投稿。土日祭日休み

視力

2012年11月30日 | Weblog

  鎌倉で月一回開かれる学習会に29日木曜日に参加した。普段は最終水曜日に開かれるが、今回は木曜日に変更された。会場は鎌倉八幡宮に近い個人の家の敷地内に建つ習い事用の建物である。ここではいろいろな習い事や勉強会が開かれているらしい。午前10時に始まって12時までの2時間が私を含めて7人の勉強会に割り当てられた時間だった。私と同様思い込みで日々を過している方が多いらしい。会の最中、入り口を開けて顔をのぞかせたのが二人、ガラス戸に影が映って、入り口のドアの前を行ったり来たりしてドアの前で立ち止まり、耳をかたむけ、中の様子をうかがっていたのが三人はいた。おそらく彼らの会も曜日変更されたに違いない。

  私も予定や約束をメモ帳やカレンダーに書き込むように努めているが、書き込んでもどこに書き込んだか分らなくなる。そして「今日は、この時間は」予定の、約束なのかと、いつもビクビクしている。携帯電話には予定を管理する機能があるそうだが、使ったことがない。もとい、私にはその機能を使いこなす技量がない。携帯がほとんど不携帯だと妻からも揶揄されている。私の老化もおかげ様で順調にすすんでいる。

  今回の会で、休憩の時間だったか勉強会の間であったかも忘れたが、E氏が言ったことに感心した。「解ったんですよ。やっと突き止めたんです。その原因を」 優れた小説のように冒頭から読者、視聴者の関心を惹きこむのがE氏の話法の上手さだ。私は「何を突き止めたのですか?」と完全にE氏の術にはまっていた。「視力検査をするたびに褒められる。そのお歳でどうしてこんなに視力がいいのかと。自分でも不思議だったんですよ。解りましたよ。原因が」 ここで再びE氏は音楽家のように休止符を打つ。私は「早く教えてくれ」と彼の思う壺。「歳を重ねるごとに、検査をするたびに視力がよくなるんです」「その部分は解りました。教えてくださいな。答を」 私は気が短い。答が知りたい。

  「パソコンですよ」 私は即、理解できず「パソコン」と頭で繰り返す。「私と同じくまったくパソコンを使わない連中も皆、目が良いんです」 納得。つい最近、妻がこんな事を言った。「これから先、眼科医と耳鼻科医は忙しくなる。これほど皆がパソコンやスマートフォン、i-podを長時間使い続けていれば目も耳も悪くなる」 E氏がまさにこの説の証人ではないか。E氏は家の固定電話をダイヤル式からプッシュフォンにしたのは、つい最近だった。モノを大事に使い礼儀作法を重んじる古風なところもあるが、オシャレで服装、カバンなどの持ち物にこだわりを持つ。時々あまりの頑固さや考え方が古い、特に男女の生き方において私と相容れないことを感じる。それでも私は彼を尊敬する。時代の流れに逆らって生きる爽やかさに好感が持てる。E氏のように一つでもよいから信念を貫いて生きたい。

  今日11月30日が応募締め切りの原稿用紙80枚約3万字の小説を書き上げた。推敲と校正を繰り返している。私はパソコンの画面を見続け、目は充血してショボショボしている。眼科医から「あまり効きませんが」と処方してもらった目薬を30分に一回点す。目を痛めつけ、視力を犠牲にする程の意義があるかどうか分らないが書くしかない。


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