さて、今回の東京出張のもうひとつの目的は、『横浜の仇を江戸で討つ』で御座います。
前回、横浜出張でのフリーな移動日は秋の月曜日ということで、美術館関係が休館または展示入れ替え中でありました。
その為、特に何をするわけでもなく……いや、酒は呑んだな。こちらは休肝日ではありませんでした。
「ミズダコを香住鶴で」という東京で呑む必要の無い……いや、だからこそ相応しいのか? という逡巡を山場として一日が終わったのでした。
何も見れなかった仇を返さねば。
という事で前乗り。当日は月曜日で美術館は休みですが大丈夫。(←何が?)
見たいものは美術館だけにあるのではない。まずは、落語でお馴染みの増上寺。
まずは参堂から伺います。鐘楼を横目に「ここの鐘は海風に乗ってくるンで鈍い音……。ぐぉぉぉぉ~~~ん」と独り言。
お参りした後は、今年オープンした宝物展示室へ直行。大殿の地下に潜る格好。
お目当ては、狩野一信の『五百羅漢図』です。
全100巻を20巻づつ入れ替えながら展示。今回は21~40巻までで、地獄から人々を救済する羅漢様がメインのシーン。
キャプションも判りやすく見ごたえ充分。平面的な構図のレイヤーを重ねて奥行きを表現。緻密な細い線、気配のあるぼかしなど遠くからも近くからも見飽きない。う~~~ん、良いなぁ。
『地獄八景亡者戯』的な緩さではなくガチンコ表現で、怖さと有難さの波状攻撃に見入ってしまう。
見終わって地上へ。ふと門を見上げると、なにやら可愛らしい図案を発見した。
魚?
そのまま、視線を上げると……。
『魚がし』とある。魚屋の親父さん達からの寄進でしょうか。
トラックが通行していた門には、高さ制限の枠のようなモノが異彩を放っていた。視認性を高めるビビットな色が現代アートっぽい。いや、このお寺なら現代アートかも。
道の反対側から「現代的な襲の色目とするなら、名前はどうするかなぁ」とボンヤリ眺めていましたが、個人的に『711』と命名する。( ← まんまですな)
( ← のちほど『エニートーキョー 2015』というデザインイベントと判明しました)
次は現代作家の描いた五百羅漢図を見に六本木へ。
見上げても見上げても曇り空 ( ← 山頭火風に )
どちらも高い蜘蛛と雲 ( ← ??? )
このビルの高いところの美術館へ。この方は実物を見たことが無かったので。喰わず嫌いはイケナイしね。
で、やはり……。感想はさて置き、色々な音が気に障る会場でした。
「商用でなければ写真撮影OK」という海外の美術館スタイルは良いのですが、シャッター音がやかましい。
全てをスマホで撮っていた兄ちゃんは、目の前の実物よりもスマホ画面を見ている時間の方が長かっただろうなぁ。
「あとで本でも買えば?」と何度言いそうになった事か。その方が写真もより良いし。モノより空間体験という人か。
観客の話し声も大きかったし多かった。普段、美術館へ行かれない層もご来場かな。展望台からのお流れ?
パステルカラーのジャージ・ケミカルなサンダル・ピカピカしたスマホの団体さんは「Youは何をしに美術館へ?」って感じ。
展示室を本当に駆け抜けて、ミュージアムショップで大騒ぎ。それで廻る経済もあるという事でしょうか。
さて、翌日。
三越入りする前に、東京駅丸の内側へ。
綺麗になったドームを見上げて、読んだ事はないけれど『点と線』をふと思ってプラットホームを見やる。
駅から出て中央郵便局跡地の商業ビルへ。
ここでの目的は、日本郵便・東京大学産学協働プロジェクト『インターメディアテク』にある。簡単に言えば、東大の学術標本の一部が展示してある場所。しかも入場無料。素晴らしい。
出来た当初から行きたかったけれど機会が無かったので、やっとこさであった。
館内は撮影禁止。(←こういうところだよっ! 日本は)
入場無料ではなくて、「部屋ごとに寄付金箱を置いておけば良いのになぁ」とも。鉱物、数理模型、機械の教育模型の展示にはお礼がしたいぐらい!!
一番の驚きは、貨幣コーナーで赤瀬川原平氏の『大日本零円札(本物)』があったこと。『千円札裁判』の最中に作っていた作品で、思わぬ場所での初見となりました。洒落の効いたキュレーターさんですなぁ。
前日に新宿で『純粋階段』の発見&体験したこともあり感動もひとしお。出会う時には出会うんだなぁ。
そこから三越まで歩いて、館内をグルグルと。それはそれで楽し。
という訳で、「東京では色々見たよ」という報告まで。
で、実は、他にもテーマもあったりして……。
「まだ、あるのかよ!」という向きも御座いましょうが……、はい、続きます。 (^。^ゞ
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