備前焼 やきもん屋 

備前焼・陶芸家の渡邊琢磨(わたなべたくま)です。陶芸、料理、音楽、路上観察……やきもん屋的発想のつれづれです。

備前産素材で、フレンチ&イタリアン

2018-11-21 12:15:20 | 料理・食材


過日の事。
倉敷でのグループ展会期中でしたが、細君とディナーへGO~~。
岡山の玄関口のホテルにて、『備前の里海里山の恵み』が主題で開催されました。

シェフは、岡山を代表するイタリアンシェフとフレンチシェフ。
イタリアンとフレンチの融合コースというのが興味深い。コースの組み方は、どのようになるのだろうか?
予想するにイタリアンシェフのスペシャリテ『リゾット』が出るだろう事にも期待大である。

スタートは、シェフのご挨拶から。開始前から作り手が楽しんでいる感じが出ている。

満席一斉スタートなので、時間配分が出来ているのだろうなぁ。余裕感じるなぁ。自信もあるだろうし。

開始!


『ブイヨン・ド・レギュ-ム』

このレストランのお決まりのスタート方式。本日のブイヨンを小さな器で頂く。
瀬戸内ブルーを意識した瑠璃釉の伊万里、島のようにひとつ備前が。
野菜エッセンスが複合した奥深さ。戻り香が心地よい。口の中が温まって期待が高まる。
幕開けにふさわしい一品。


『お魚と野菜の一皿』

フレンチシェフの「野菜の素材感をダイレクトに味わって欲しい」との事からサラダから。
混ざっているのはコハダ。コハダにしては味が濃い。口の中でペターっと広がって行きそうな脂を野菜がキュッと纏める感じが面白い。
ドレッシングの油を魚の脂に置き換えるという感覚なのか。足し算なのか引き算なのか判らない絶妙なバランス。
シャキン!とした葉物に対して、根菜類のホッとする食感。

野菜なのにワイン切望。

ワイン。

岡山で注目されているワイナリーのもの。


『蛸とトマトの一皿』

黒いのはイカ墨。トマトビネガーは初めて。トマトの香りが強く立つ。
注目したのは蛸の切り方。蛇腹の切れ込みに味が入り、噛み切りやすく、野菜と合わせても口の中でタコだけが残らない。
複数の素材が乖離しないカットなのか。
これ、今後、拙宅でも真似するわ。



『海老とお米の一皿』

イタリアンシェフのスペシャリテ。この日はこれ目当て。個人的にはメイン相当だ。シェフのリゾットを頂くのは3回目かな。
お米は岡山産『ひのひかり』。大粒の品種でスープの吸い込みも多いので、ふっくらと。
上に掛かっている『ゆかり』の様なものは、スマックという中東のスパイス。味は……ゆかり。
……ということは、自宅で再現する時には、ゆかりだな。
 (厚さのあるエビに火を通しつつ、堅くならない方法は後でシェフに訊いた。これも真似するぅ)

「しかし、和食ならご飯が出たら終わっちゃうしなぁ。途中でお米が出て、この先はどうなるのだろう? お米は野菜という西洋感覚なんだろうなぁ」と要らぬ心配をして、内心ドキドキ。
さてさて……。


『貝類と蕪の一皿』

「そう来るか!」という一品。「……これ、茶碗蒸しだわ」
出汁で味覚をリセット。箸休め的な一品を挟んで落ち着いてメインへという事ね。生の蕪の清涼感ある香りで嗅覚もリセットされる。
前の皿からは『味のグラデーション』となり、次の皿へは『味のコントラスト』になっている。最高の脇役プレーだなぁ。
出汁の余韻をもってメインを待つ。高まる期待。
ワクワク!


『渡り蟹と木ノ子の一皿』

濃厚ッ!!
本日、一番の濃厚なソース。渡り蟹はパイ包みにする事で形も取れて無駄が無い。しっかりとした塊になるパイ包みって良いなぁ。
これまでの素材を感じる淡い味、香りなどから、一気に渾然一体とした濃厚さへ。
打ち上げ花火を見るような破綻無いアッチェルランドな展開。
いやはや……。


『みかんと白インゲン豆の一皿』

野菜に拘りたいフレンチシェフが、白インゲン豆を形を残して甘く炊いたとの事。想像すると愉快にも。
そして、この時期には酸味がある温州みかんは、直接産地で特に甘いものを選別し、丸ごとコンポートに。見ただけで判る丁寧な仕事。
アイスでクールダウンされて、大輪の花火がスッと消え、印象だけ残ったかのような充足感。

一幕のドラマのような美味しい時間でした。

一品の存在感と順番に役割があって、それぞれが確立しつつ全体を作る。
きっと、あの人なら「我々の間には、チームプレーなどという都合のよい言い訳は存在せん。有るとすればスタンドプレーから生じる、チームワークだけだ」って言うんじゃないかな。( ← 違っ!)


お皿チェンジの間にはシェフ二人が漫才、……じゃなくて、解説してくれるのも楽しくありました。


それにしても、普段買い物先で見かける備前の食材が、斯くも変わるプロの技術の凄さ。


細君もご機嫌にて、良い時間でした。 

有難う御座居ました。 m(_ _)m






















最新の画像もっと見る

コメントを投稿