ひとり言 ひとつふたつ詩集

沖縄から詩をつぶやきます。

清明祭(うしーみー;御清明)

2013-04-30 19:10:45 | 日記

                          清明



                       清明なり
                       清明のころ
                       
                       清明祭
                       重箱の中の不揃いなごちそう
                       なれない手で
                       つくった

                       雲の間から湿った風がふき
                       木の葉を揺らし
                       一瞬澄み切って
                       陽がさした

                       白い蝶が
                       ひらりひらり
                       ごちそうを一回りして
                       むこうへ
                       去った

                         お墓の右だったっけ
                         左だっけ
                         まずはじめに祈るのは
                         迷った
                         いつもかあさんにまかせっきりで
                         ただ見ているだけの
                         そのまえは
                         おばあの姿を
                         ながめていた

                         
                       時代を経た太い幹の木々が
                       台風の後に
                       倒れて
                       朽ちている
                       枯葉の上に

                         きらきら光る木の葉から
                         青い空がのぞき
                         白い雲が流れている
                         
                         流れるのは
                         雲だけではなく

                         時代
                         時間
                         人間
                         
                         人と人の間も
  

99%

2013-04-29 20:08:15 | 日記
                       99%のつぶやき

                         99%の
                         幸せは
                         その日の夕飯と
                         温かい布団と
                         深い深い眠り

                          大空に舞うミサゴは
                          見つけた海の魚を
                          逃がさない
                          その足先の爪で
                          しっかりと獲物を抱えて
                          空の向こうに消えるだけだ

                          そのミサゴは
                          飛ぶ鳥
                          羽と鋭い眼を持ち
                          風に揺れながら
                          微妙なコントロールをする

                          鉄の鳥は
                          人間が造ったものだから
                          ヒューマンエラーを持ち
                          重力に抗せず
                          地面をめがけて
                          まっしぐらに
                          コントロールを失う
                     


                         1%の
                         幸せはない
                         満ち足りているから
                         食べ物は
                         事欠かず
                         ミシュランNO.1 の
                         大皿に盛った美食
                         地球を覆う
                         札束を
                         数えるにも時間がかかるから
                         眠ることはない

                         99%を
                         どのように
                         動かしていくのかを
                         レクレーションにして

                         その冷徹な分析に
                         みなひれ伏す

                         野の花の
                         美しさは
                         99%のもの

                         手のぬくもりや哀しさも

                         1%は
                         想像し難い
                         
                         地球を手のひらにのせて
                         幸せを思うのか

                         世界の動きに影響を与えることに
                         誇りがあるのか

                         世界はもはやひとつ
                         ただ1%と99%の区別のみがある
                         
                         
                   
                         
                         

たま

2013-04-27 07:59:38 | 日記
                             たま

                          まーるく
                          まーるく

                          地球
                          地のたま
                          
                          中は火の玉
                          たまが飛び交っていたが
                          いまだたまが
                          あっちこっちで

                          たまは勾玉
                          勾玉をもって
                          祈る
                          白い装束

                          どちらも

                          
                          しかし
                          勾玉の女は
                          陽に向かって

                          手を合わせて
                          手を繋いで

                          まーるく
                          まーるく

                          地のたまの上では
                          同じ成分からなる
                          同じ物質が
                          はしっている

                          鳥は
                          まーるく
                          飛び

                          どこにでも
                          飛べるから

                          だから
                          たまを飛ばしては
                          いけない

                          地のたまの上では
                          また
                          金のたまを獲る
                          想像を超えた
                          ひとが
                          たまを飛ばすのだから

                          飛ばない
                          鳥がいる
                          しまから
                          

                          手を拡げて
                          陽に祈る
                          

時間について

2013-04-26 23:16:36 | 日記
                            やさしい時間


                          夕方の
                          空を見上げて
                          

                          一週間の
                          一日、一日を
                          雲にのせて
                          ゆっくり
                          ゆっくり
                          風に
                          流していく

                          こうして
                          時は
                          
                          ゆっくりと
                          そして
                          足早に
                          雲の行方に
                          いつの間にか消え

                          夕焼けの
                          あかとあおの
                          あいだに溶けて

                          紫の煙りに
                          変わっていくのかもしれない
                  
                          ただただ
                          いとしくやさしい時間に
                          なるように

                          なっていく

                          欠けた月でも
                          美しい
                          いや
                          欠けているからこそ
                          

                          

                          
                         
                          
                          
                          
                          

夕闇の中で

2013-04-26 21:38:08 | 日記
                                 夕闇の中で


                             闇夜で
                             しくしく
                             
                             闇夜の
                             カラスが
                             泣いている

                             姿が見えないのは
                             羽も
                             そのくちばしも
                             闇夜に隠れているから

                             暗い暗い
                             暗闇に
                             その黒が
                             まぎれて

                             白い道が
                             月夜に
                             照らされて
                             輝き

                             カラスは
                             驚いて
                             飛び去ってしまった

                             道は
                             二度とはこない
                             時間の
                             流れの中で

                             きらきらと
                             ひかりにあふれ
                          
                             流れている
                             白い道

                             カラスが
                             しくしく
                             泣いている

                             遠い遠い
                             道の向こうで

                             黒い影になって