清明
清明なり
清明のころ
清明祭
重箱の中の不揃いなごちそう
なれない手で
つくった
雲の間から湿った風がふき
木の葉を揺らし
一瞬澄み切って
陽がさした
白い蝶が
ひらりひらり
ごちそうを一回りして
むこうへ
去った
お墓の右だったっけ
左だっけ
まずはじめに祈るのは
迷った
いつもかあさんにまかせっきりで
ただ見ているだけの
そのまえは
おばあの姿を
ながめていた
時代を経た太い幹の木々が
台風の後に
倒れて
朽ちている
枯葉の上に
きらきら光る木の葉から
青い空がのぞき
白い雲が流れている
流れるのは
雲だけではなく
時代
時間
人間
人と人の間も