ひとり言 ひとつふたつ詩集

沖縄から詩をつぶやきます。

気候変動

2021-02-25 22:21:39 | 日記

                           気候変動

                    あっというまの
                    いままでで
                    
                    積み重ねた時間が
                    いとしく
                    なつかしいと
                    思うことが
                    あるとは

                    つかんだつもりの
                    幸運の髪の毛は
                    いつのまにか
                    少なくなり
                    疲労困憊の
                    へろへろ

                    朝の光の中で
                    今日という日が
                    なにごともなく
                    見上げた天井が
                    曲がらず
                    流れていかないように
                    と
         
                    1日をはじめている
               
                    足もとは
                    頼りなく
                    
                    辛抱してこなかったせいか
                    心棒が
                    ななめにゆがむことがある

                    不信が
                    羅針盤を
                    不安定にするとき
               
                    気候変動
                    
                    かなたの山がまっくろに燃えている
                    

2021-02-17 22:49:12 | 日記
                     


                 向こう側から見てみると
                 目が回る
                 それは見たことのない風景だから
                 立っているところが違うから
                 平衡さが乱れる
                 青天の霹靂
                 
                 青空から雷
                 落ちて
                 こころに
                 大石がごろごろ

                 そうなんだ
                 見たくないものに背を向けた
                 避けて来た
                 無理をして見ることはない

                 小さな池に
                 ドボンと落ちてきたから
                 あふれた水で
                 ぬれたところを
                 どうふき取り
                 どのように考え
                 どう向き合うか
                 
                 生きていることは
                 そんなふうに
                 小さな池に立つ波に
                 向き合うこと
                 だろう
                 と
                 気分の悪さを
                 なだめている

                 
                 

                 
                 
            
                 

一瞬

2021-02-16 22:35:16 | 日記
                        一瞬


                    触れるものは
                    美しい景色でなければ

                    美しい川や山や
                    野ノハナでなければ

                    美しい景色の中で
                    拳を振り上げ
                    叫び声
                    炸裂する煙の向こうで
                    緑の森が揺れている

                    そらは抜けるようなあお
                    轟音が行き交う
                    がたがたと戸が揺れる

                    揺れる
                    地が揺れる
                    ものみな落ちる
                    もう
                    見たくない
                    壊れていく景色は

                    なにごともない
                    日常が
                    美しい景色だ
                    と
                    一瞬のきらめき
                    の
                    一滴
                    の
                    水
       
                    

                    

2021-02-16 22:11:04 | 日記

                  


              擦り傷はひりひりと
              滲んだ

              ある人の傷は
              深く
              奥へ奥へ
              膿を伴って
              癒えることなく
              白い骨もえぐる
              臭気

              擦り傷は
              乾いて
              やがて固い皮膚が覆い
              あたらしいものへ再生する

              深い傷は
              ぶよぶよに
              今にも破れそう
              周囲に広がり
              壊死
              痛みの自覚もなく
              麻痺し
              大声を上げて
              傷の存在を
              訴えることもしない

              あなたの痛みがわからない
              わたしの無知を
              知ることからしか
              はじめられない

              痛みの存在をしるのは
              なんと
              哀しく
              苦しいことなのか
              
              

蚊帳

2021-02-10 22:15:54 | 日記
                    蚊帳

                 ぎざぎざの風
                 ざんざんの雨
                 のなかで
                 きらりと
                 雨粒が
                 風に吹かれて
                 ななめに地面に落ちていった

                   電話をした
                   なつかしく
                   「お元気ですか
                    送られてきた冊子で名前を見て
                    それで。」

                 溶け込めなくて
                 いづらくて
                 居場所がなくて
                 あのころ
                 なにをしていたのか
                 夏の日差しのアスファルトを
                 あっちあっちと
                 行き場なく

                    「スマホにして
                     ラインでみんなと話しよう
                     みんなに好かれていたからさ
                     うれしいと思うよ」

                 きゅっと
                 恥ずかしくなる

                 蚊帳の外はさびしいけど
                 すーすーして
                 手足が
                 すっと伸びるんだ

                 蚊帳の中では
                 なんだか囲まれて
                 よくしゃべれない

                 ぎざぎざの風が
                 すーっと行き過ぎていった