ひとり言 ひとつふたつ詩集

沖縄から詩をつぶやきます。

あじ

2023-06-28 20:21:29 | 日記
                     あじ


              朝の光が金色に輝いている

              昨日までの
              鉛色の空と
              地面をたたく雨足は
              どこに去っていったのか

              荒れた胃の中で
              食べ物たちが
              ななめに上下に
              揺れて
              ころがって

              味がない
              おいしいと
              感じられない

              ひだひだの間を
              ころがるだけの
              無味無臭の
              このものたち
              中で転がる甲斐もない
              解がない

              食事がない人も
              存在するというのに
              贅沢な毎日

              何もない日は
              穏やかな
              平和な日

              このような日々が
              ずっと続くように

              ただせめて
              口にするものを
              しみじみと
              味わえますように
              
           

             
              

              
              

6月の・・・

2023-06-05 23:42:45 | 日記
                   6月の・・・

                6月の小高い丘
                月桃の葉は緑濃く
                花は白く
                うつむいている

                6月の空を
                灰色の雲がおおい
                鉛色
                雨が降り始め
                やがて大粒の雨にかわり
                月桃の葉先から
                地面に滴り落ちる

                大雨は横殴りに
                撃ちつけ
                腰の辺りまであふれ
                足をとられて
                進めない
                ずぶぬれの前髪は
                額にはりつき
                雨は
                頬から流れ
                目が開かない

                どこに向かっているのか

                6月の雨は暴風
                月桃の葉を裂き
                ちぎり

                逃げ惑う人は
                ちりじりになり
                その体を
                雨は
                射抜き

                6月の暴風は
                鉄の暴風
                78年前に吹き荒れ
                街はこっぱ微塵

                いまも

                いまもなお