ひとり言 ひとつふたつ詩集

沖縄から詩をつぶやきます。

とんかつのうた

2021-06-23 22:54:14 | 日記

                       とんかつのうた


                    とんかつ
                    肉の塊の1片に
                    小麦粉
                    卵
                    パン粉
                    を
                    まぶし

                    おきなわ
                    きち
                    があふれ
                    きち
                    に付随して
                    もろもろ
                    事が起こり
                    こころ
                    やすまらず

                    泡が
                    川にあふれ
                    水道水を流れ
                    
                    あめは空から落ち
                    ひこうきもふり
                    ぱらしゅーとも
                    夜な夜な
                    おりてくる

                    あげくのはて
                    とうきょうで
                    コロナが増えれば
                    おきなわもコロナに
                    まみれ

                    分厚い
                    とんかつ

                    肥満のもと
                    アブラムシの
                    うごめく

                    くちびるに
                    うたではなく

                    息苦しい
                    マスクで
                   
                    歌も口ずさめず


                    
                  
                    

ほたるー76年目の6月23日にー

2021-06-23 20:36:51 | 日記
                      ほたるー76年目の6月23日にー


                   雨があがり
                   太陽が
                   さして
                   いたい

                   水溜りから
                   ひかり
                   瞳をつきさし
                   
                   その日
                   母は
                   姿かたちをなくし
                   はらはらと

                      壕の中で
                      自決をしようとした
                      日本兵の銃が
                      母の
                      頭の表皮を傷つけ
                      死体のやまにたおれこんだ

                  ほたるのひかり
                  緑色に
                  やみのなかを
                  ふわふわと
                  飛んでいく

                      姿かたちがないのに
                      母の
                      頭の骨が光っている
                      瑠璃色
                      76年前の銃から発射された弾のあと

                  ほたるのひかり
                  玄関で
                  わたしの頭と顔の周りを
                  ひとまわりして

                  かあさん

                  きょうは
                  76回目の
                  6月23日
                   



剣闘士

2021-06-21 23:35:12 | 日記

                        剣闘士



                     剣闘士

                     円形の競技場で見世物
                     怒号と
                     札束が乱れ飛ぶ

                     ぶつかり合う
                     肉の塊

                     古代ローマ
                     酔いしれる観客
                     みるものは
                     上級市民

                     奴隷の剣闘士
                     
                     命を懸けた
                     闘い

                     ビルが立ち並ぶ
                     文明の
                     時代でも
                     闘うことを
                     強いる

                     自ら志願するものも
                     
                     あの時代には
                     鎧を身につけ

                     T-シャツとジーンズの
                     兆万長者は
                     ワインを片手に
                
                     高みの見物か

                     咳き込む
                     地べたの下々は
                     注射で黙らして

                     虫唾が走る


                     
                     

                     

かいこん

2021-06-14 10:17:49 | 日記
                   かいこん


               6月は
               白く
               雨と煙に
               隠れ

               草も木も
               屋根も
               濡れ

               雨音は
               土をたたき
               地深く
               にじみ

               見えない
               歴史に
               到達する

               閉じた眼は
               見開き
               いまを
               凝視している

               変われない
               その先を
               見据えている

               学ぼうとしない
               為政者を
               その雨足で
               たたいているが

               雨を
               ただの一滴だと
               軽視するから
               号泣して

               地球から
               あふれ落ちて
               宇宙の闇に
               
               なだれ込み

               闇を
               飲み込み
               
               いつの時代も
               川の流れは
               絶えずしてと
               ただただ
               歌詠みの
               
               詠嘆

               能無しの悔恨
               土の中の塊根
               
               

 

2021-06-04 20:58:20 | 日記

                        


                    涙一粒

                    今存在しているのに
                    不在を想像する目から

                    
                    涙一粒

                    生きようとしてもがいているのに
                    限られた時間を知らされた口惜しさ
                    なんだよ
                    神でもなく
                    ましてや
                    死神でもない
                    生身のヒトが
                    そのようにいえるのか

                    涙一粒

                    病院で経験した積み重ね
                    その顔色
                    その歩き方
                    後姿から
                    染み出た
                    長い影
                    今まで生きてきた
                    跡形

                    ぽろり
                    ぽろり

                    みてきた人生が
                    涙の粒
                    粒

                    外来の長いすの小さくなった背中
                    涙が止まらない

                    が
                    飲み込んで
                    強がることばに
                    うん
                    うん
                    と頷いている