呼吸ひとつ
あした
きょうが闇に休んだ後の
夜明けの次にくる
苦しい息の中で
闇の中で黒い影をみたのに
「こわくなかった
あれはきっと親かもしれないし
自分に至る前の
先祖かもしれないから」と
最期の息の
父さんを看取ったとき
母さんは
「後悔はしないよ、いいね」と
その腕に頭を乗せていいきかせていたっけ
4月の朝の病室
あれから
母さんはみんなに
お礼とお別れの
あいさつを
ひとつ
頷いて
大きな息を一つ
すすり泣きがとまらず
その部屋は
そよ風が鳥の鳴き声を運んできて
いつもの
朝の光がさしていた
そんなふうにして
あしたは
闇の中からやってきて
闇にかえり
また闇からうまれでてくる
ひとつ
空気を吸うと
泣き声
あかごの
すべてのいきの始まり
泣いているのに
笑顔の大人が取り囲んで
喜ぶ不思議
ヒトのいきしに
あした
きょうが闇に休んだ後の
夜明けの次にくる
苦しい息の中で
闇の中で黒い影をみたのに
「こわくなかった
あれはきっと親かもしれないし
自分に至る前の
先祖かもしれないから」と
最期の息の
父さんを看取ったとき
母さんは
「後悔はしないよ、いいね」と
その腕に頭を乗せていいきかせていたっけ
4月の朝の病室
あれから
母さんはみんなに
お礼とお別れの
あいさつを
ひとつ
頷いて
大きな息を一つ
すすり泣きがとまらず
その部屋は
そよ風が鳥の鳴き声を運んできて
いつもの
朝の光がさしていた
そんなふうにして
あしたは
闇の中からやってきて
闇にかえり
また闇からうまれでてくる
ひとつ
空気を吸うと
泣き声
あかごの
すべてのいきの始まり
泣いているのに
笑顔の大人が取り囲んで
喜ぶ不思議
ヒトのいきしに