ひとり言 ひとつふたつ詩集

沖縄から詩をつぶやきます。

なつかし首里

2024-03-17 20:33:20 | 日記

                     なつかし首里


                  ゆっくり歩いている
                  走って
                  上がっていた坂道
                  小さな足で
                  あんなに元気な小さな子は
                  いま
                  ゆっくりと
                  歩いている

                  首里城は
                  すっかり人であふれ
                  聞いたことのないことばが飛び交い
                  わたしだけの
                  場所だったのに
                  変わってしまった

                    いさむくん
                    不良少年のいさむくんは
                    3年前に
                    お空に戻っていったと
                    首里城のお庭で
                    ばったりあった
                    しんじくんから
                    きいたよ

                    教室で
                    いつも先生にしかられていた
                    悪さばかりして
                  
                    クラス委員長は
                    見張っているばかりで
                  
                    さみしいよ
                    ひとりいなくなり
                    ふたりいなくなり

                  首里城の坂を
                  車で
                  たどる

                  風景が
                  流れていくよ

                  
                  
                  


海には入れない

2024-03-10 19:44:57 | 日記
      
                      海には入れない  
     

                   海の中には入れない

                   砂をつかんで
                   立ち上がれば
                   海を乗り越えることができるのに

                   海は
                   遠く
                   ずっと向こうで
                   その海に入ってしまえば
                   向こうにたどりつくはずなのに

                   ただ
                   漂うばかりで
                   透明な海水を
                   飲み込んでは
                   塩辛く
                   耳や目がいたいので

                   海には入れない
                   
                   ごまかしながら
                   浜辺をあるくだけで
         
                   海に入ることのない
                   もどかしさをで

                   まぶしくひかる
                   波を
                   うらやんでいるよ
                   
                   二度と戻ってこない
                   波
                   

                   
                   
              

ブラックホール

2024-03-06 23:01:45 | 日記
                      ブラックホール


                   じっとみつめた
                   
                   くせなんだ
                   頭の中が見えないかと思って
                   みえない心の中を
                   読もうと思って

                   ぎしぎしきしむ
                  
                   むかし
                   すぐこわれそうな
                   薄いガラスだったと思っていたのに
                   いまでは

                   ぎしぎし
                   きしんで
                   ゆれはするが
                   おれることはない

                   足裏の
                   倒れそうな感覚

                   やっと支える
                   倒れないぞ

                   しばらくみつめて
                   あー
                   そうなんだ
                   みすぎると
                   なかに
                   ブラックホールを
                   抱えてしまうのだと
                   底なしに
                   渦巻いて
                   あまり苦しいから
                   苦しさに同化して

                   吸い込んで
                   自分を
                   ブラックホールにしてしまうのだと

                   不幸を
                   食べて生きている

                   

 

笑顔のために

2024-03-02 23:26:46 | 日記
                      笑顔のために

                   春は近いというのに
                   寒いので
                   どこへもでかけず
                   ひとり
                   話すこともせず

                   つぎつぎと
                   勝手に
                   でてくる
                   原稿用紙
                   壊れた
                   印刷機

                   むかしの
                   出来事と
                   そこで
                   話したことばの数々

                   かなわなかった
                   幼い恋心や
                   いえなかったことばの数々が
                   壊れた印刷機から
                   ぺらぺらの紙の束となって
                   でてくるのだ

                   寂しい夜の一人遊び
                   あふれてくる
                   懐かしい場面

                   振り返ることもなかった
                   もう
                   いまは
                   いない
                   ひとたちが
                   踊りだすのだよ

                   くるしいはずの
                   思いが
                   くるくると
                   まわって
                   どうしいいのかわからない
                   のに
                   ひとりで
                   くるくるくるりと
                   踊っている

                   遠く
                   かえってもこない
                   時間のなかを
                   くぐりぬけて
                   いま
                   ここに
                   
                   ここで
                   わらっている

                   元気をだして
                   
                   いまを
                   いきているのだから