ひとり言 ひとつふたつ詩集

沖縄から詩をつぶやきます。

再び・・・

2023-02-25 23:49:56 | 日記

                   再び・・・
     
                鉛筆を取り出し
                握り締める

                もどる
                ふるさとの白い道
                ぎざぎざに尖った
                指先を疵付ける葉を持つ
                緑色の草
                ゆれる
                白い道

                なつかしいふるさと

                薄紫の
                小さな花の咲く畑道
                やまいちごの赤い実
                みんなそろって
                4月の畑道を歩いた

                なつかしいふるさと

                もういない
                人たちの背中が
                前を歩いている

                頑張れ
                みんな頑張ってきたし
                頑張っている

                だから頑張れ


            
             

大空の鳩

2023-02-13 21:55:05 | 日記
                      大空の鳩
            
                   大空に
                   白い雲は
                   ふわりふわりのメルヘン
                   しあわせだね
                    
                   大空に
                   白い気球
                   打ち落とすミサイル
                   恐怖が
                   もくもく
                   黒い雲

                    この空に
                    飛行機と
                    みよ 東海のそら
                    パラシュートの花咲く

                    こわいよ
                    こわいよ
                    降りてくるよ
                    真っ赤なバラの花

                    なんだよ
                    そんな押し付けがましい
                    正義は
                    
                    ぼくたちは
                    目隠しされた
                    その他の
                    名のない
                    いきもの
                    時に
                    利用される
                
                   
                   許すな 
                   強引に踏み込む
                   ぬすっと

                   恐怖の暴力 

                   鳩を守れ   
                   

                   
       
                   

バナナ ばなしーささくれー

2023-02-04 14:38:57 | 日記
                      バナナ バナシーささくれー

                  記憶の底に
                  沈んでいたこと

                  バナナ
                  大きなバナナ
                  手を伸ばした
                  横に兄がいたようだった
                  幼い頃のはじめての痛い思い出
                  おじが伸ばした手の甲を
                  叩いた
                  何が悪かったのか
                  わからなかった
                  兄が昔話をして
                  バナナの話題がでた

                  怖いおじの方だと思っていたが
                  それはやさしかったおじの方だった
                  あのおじさんは
                  急にきれると豹変するんだよ
                  やさしいのはねこをかぶっていたからさ

                  ねこをかぶらなくても
                  ねこは
                  爪を隠しているし
                  気に入らないと
                  シャーと
                  歯をむき出して
                  引っかく

                  飼っていたねこが
                  ふとんにおしっこをもらしたとき
                  父がそのねこをたたいた
                  そのとき私は
                  顔を背け
                  叩かれた気持ちになって
                  首が動いた

                  そのとき
                  父が
                  あっと私を見た

                  ささくれは
                  時間がたつと
                  硬い皮膚になって
                  自然にむけてしまうのに

                  いつまでたっても
                  痛いままで

                  バナナには手をだせない
                  おっかなくて
                  バナナの向こう側から
                  手が伸びてきて

                  また痛い思いをさせるのだろう、と
                  
                  今日も思い出して
                  しくしくと傷むのだよ
                  


H君へー追悼ー

2023-02-02 20:16:25 | 日記
                       H君へー追悼ー


                   朝
                   連絡がはいった
                   H君が亡くなったよ
                   血液の病気だったよ

                   絶句した
                   そして
                   思いもしない
                   涙がぽろぽろ

                     学年でダントツの成績優秀で
                     教壇のすぐ前の席で
                     教科書はすでに先生の授業より
                     先をいっていた

                     近寄れない
                     異次元の同級生だった

                     4年前の同窓会で
                     口ひげを生やして
                     いかにも偉くなって
                     でも私には
                     あらら
                     ねずみをくわえたねこか、と
                     悪かった、H君

                   電話をくれた同級生は
                   ひとり病気で倒れ
                   ふたりいなくなり
                   きっと
                   わたしたちは生かされているんだ
                   ありがたく
                   一生懸命生きよう
                   
                   なにごとか
                   やるべきことを渡されているんだって

                   さかさまに
                   負が正になり
                   清濁なんか濁って
                   真っ黒けの毒の水を
                   飲まされる
                   いま
                   あの頃まっすぐに前をみていた
                   優等生の君の眼を
                   思い出しているよ

フーガ

2023-02-01 23:35:41 | 日記
                     フーガ

                  受信の容量が満杯
                  混乱
                  混線

                  視線の行方
                  赤外線のよう
                  足が絡みとられ
                  不審者侵入のブザーが鳴り
                  パニックに陥る

                    
                    あたしゃ
                    近くにいたいのに
                    距離が測れないんだ
                    メジャーが
                    どんな長さであればいいのか
                    わからなくなって
                    ごちゃごちゃに
                    巻きついて
                    
                    わたしゃなにもので
                    あんたは
                    わたしにとって
                    なにものなのか
                    理屈で
                    定義しようとして
                    真空管の中で            
                    放電 
                    切れて
                    白い煙

                    けむにまいて
                    逃げ出した

                    ねこの遁走