ひとり言 ひとつふたつ詩集

沖縄から詩をつぶやきます。

写真

2012-03-31 23:09:06 | 日記
         


  
           写真


              誰もいない
             昼間
             仏間で
             がさごそ

             畳の上を
             そろり
             そろり

             座布団をお願いね
             あーあー、ちっとも片づけていないね
             毎日何してるんだか・・・
             お花は、きれいに活けてはあるけど
             洗濯物やら
             置きっぱなしだ 
             いつものことだけど
             わたしがやらないとね
             あら、
             わたしったら
             洗濯物を
             通り抜けている
             
             写真の白い髪の
             あれっ
             わたしだった

             パンを焼いて
             晩のおかずは何にしようか

             夕方の6時には
             電話がかかってくるね
             「今、スーパーにいるけど
                  お買いものある?」


             玄関の鍵穴の音
             「あり、帰ってきた」
             

             するりと
             仏間に吸い込まれ
             

             写真の母が
             微笑んでいる
            
     

                             

             

みあー走るー

2012-03-26 20:43:52 | 日記
         


  みあ(mia)

            みあといっしょに
            空をかける

            みあといっしょに
            かあさんのいた
            あの場所へ
            かあさんに必要な荷物を積み

            霧雨の朝

            陽がのぼり
            みあの窓は
            朝露にぬれ
            真っ青な空

            かあさんの
            腕は注射の針が刺さり
            かあさんのおなかは
            苦しく
            みずたまり
            黄色の水滴が
            一滴一滴
            管からおちる

            みあにしがみつき
            かあさんの寝顔を
            みにいく

            蛍光灯の明かり
            かあさんを照らす

            うちに帰る
            わたしを
            「きをつけるんだよ」と
            手を振って見送る

            みあといっしょに
            夜道をはしる
            でこぼこの
            みちをはしる

            おんぼろのみあ
            くぼんだ
            おんぼろの
            みあ
            
            かあさんに
            あいに
            いっしょに
            はしった
            わたしのくるま
            みあ
            


            

                               


  

春さー

2012-03-24 07:39:21 | 日記

              


                  ウィルス

                
                  ウィルスがにょきにょき
                  増殖
                  あふれる

                  ウィルスがうようよ
                  拡散
                  あっちこっち

                  このウィルス

                  金銀食って
                  肥え太るらしい
                  この金銀って
                  どこに
                  あるのかな

                  爪の先
                  こぼれおちる

                  さらさらの
                  砂の
                  一粒の

                  さらさらの
                  ミクロの

                  ウィルスの
                  はきだす
                  吐息
                  青色

                  肥えた
                  ウィルスが
                  
                  共食い


                       

                       
              
                                  ぱり・じゃん

                                  ぱりで
                                  ぱーていー

                                  風呂敷拡げ
                                  おおぶろしき
                                  
                                   うり、あんだんすーの
                                      (油味噌)
                                   にぎりめし
                                   こーこー
                                      (御新香)
                                   そーみんちゃんぷるー
                                      (ソーメンチャンプルー)
                       
                                   うさがみぃそーり
                                      (召し上がれ)

                                  そーり
                                  そーり

                                  それそれ
                                  脅されて
                                  踊っているよ

                                  もう驚かない

                                  ぱりで
                                  鍬もって
                                  土を耕せ

                                  土から
                                  力をいただけ



                                  *はる、ぱり=うちなーぐち=畑

              

風の渡る日に

2012-03-21 21:49:28 | 日記
  

             街で

            風が
            走る

            揺れる
            木の葉たち

            風に
            身をまかせ

            しなる枝に
            しがみつく

            海風に
            さらし

            日々
            潮を
            あびる

            決して
            木々を
            はなれないこと

            秋の
            実りの日まで




                             
                                 花びら

                             花は散ったわけではない
                             色あせて落ちたわけではない
                             
                             ただ
                             ただ
                             咲き誇り

                             その時間を
                             生き
                             咲いているだけで

                             風に吹かれ
                             風に乗って
                             飛んだだけで

                   
                      
                              
                                

                                            
         

雷と大雨

2012-03-13 20:34:51 | 日記



   じゃっぽん                      大雨

    海の中へ                      おびただしい
                               情報の氾濫の中から
    海の向こう                     掬い取った
    長い黒髪を金髪に染め                ひとつ
    ゆらゆら 揺らし         
                              真実
    ヒールのかかと                       
    コンクーリトに                  おびただしい情報は
    鳴る                       騒音に似て
    コツコツ                     かすかな声を
    カルチエ                     かき消す
    ココ                
    にあり                      故意に
                              大声で
    しゃなり しゃなりと              道を指さし示す人
    シャネル                    が
    も                       おびただしい音
    いく                      を
    白い金の道                   まき散らかし
                              耳をふさぎ
    ねぇ                      声をあげさせない
    すりよる ええオンナ
    エルメス                   ガマの中で
    の                      あかごを
    おねえさん                  死に追いやった          
    鎖のない奴隷                 「泣かすな、声を出すな」
    金 すいとられ                あの時代と何が違うのか
    ばらまかれた
    ハンバーガー                 きらびやかなネオンの下で
    に                      飲み、喰らい        
    喰らいつき                  空腹を忘れ去り                                              
    海の向こう                  食べ物を
    操り人形が                  曲芸にして
    カタカタと                  皿に盛り付け
    糸に                     フォークで
    もてあそばれ                 突きさし
                             胃に流し込む
    モノクロの
    時代劇                    おびただしさは
    無声の                       雷の大雨
    映画                       土をたたき
    そのまま                   白く煙って前は見えない

    弁士は                    葦の葉を倒して
    ちょんまげ頭に                枯れさせる
    フロックコート
    足元は
    ピカピカの革靴

    自由は借り物