宣言
湿った風に
深い緑の草木がうなだれ
空を見上げると
煙った雲が
流れることなく
そこに立ち止まっている
重い足どり
春が行過ぎて
夏を生みだすために
垂れ込めた
空気
あなたの息子は
あなたの息子ではなくなり
迷える羊
赤の他人の
神を名乗る
偽りの母に
寄りかかって
許しを請う
哀れな
破綻した
優等生
がちゃんと割れた
透明なコップを
悲しくて
拾うことができず
ただつったって
小さく
別れの唄を歌った
もうそこには
空の巣箱しか存在していない
仏間に向かって
報告をした
もう息子はいないと