ひとり言 ひとつふたつ詩集

沖縄から詩をつぶやきます。

ばす

2021-12-28 20:06:32 | 日記
                        ばす

                    ひさしぶりの
                    街は
                    いつものお店が消えて
              
                    バスがこぎれいになって
                    よくみたら
                    東京バス
                    落ち着かない
                    「あのー
                     あそこにあった銀行は
                      どこに移ったのですか?」
                    「お客様、あさひ町に移りました。      
                     でも、工事が終わりましたら
                     もどってきます。」
                    
                    ここはどこなの?
                    背中がむずむずする
                    むかし
                    ここにいたのかどうか
                    自信がなくなって
                    時間のねじれに
                    迷い込んで

                    慣れ親しんだ街が
                    少しずつ消え
                    見たことない
                    場所に変わっていく

                    ことばが消えていく
                    どこかで
                    だれかが
                    火をつけ
                    煙に変え

                    もや
                    もやもやっと
                    うやむやにして

                    どろん
                    どろの脳みそ

                    思わず
                    「さったるバスい・・・」

                    ぎょっとした

                    
                       
                   

かりんとう

2021-12-22 23:30:47 | 日記
                      かりんとう


                   まあるくなる
                   って
                   牙を抜かれたオオカミ
                   これは危険
                   ニュースは項目を見て
                   ミステリーに変えてしまう
                   耳にふた
                   目に覆い

                   ゴシップにはしる
                   楽だよね

                   胸を締め付ける悲しみは
                   ごめんこうむる
                   正しくないと思うことに
                   背を向け
                   見なかったことにする

                   自分が正しいと思うことを
                   行うといい
                   といわれてもなあ

                   あっちにすれば
                   いいことではなく
                   と
                   思ってしまえば
                   不快
                   ぐちゃぐちゃな気分

                   どうでもいい
                   と
                   投げそうになる

                   切れの悪い
                   優柔不断な
                   迷いの
                   ねじれた

                   硬い
                   氷砂糖をまぶした
                   かりんとう

                   かちんと
                   歯を痛めた

  
                
                   

キウイのおかげ

2021-12-15 20:35:48 | 日記

                      キウイのおかげ

                   キウイの
                   おかげ

                   あの黒いつぶつぶ
                   さわやかそうな緑色のなかに
                   芯の周りに存在する

                   ずっしりと
                   でも
                   小さくまとまり
                   
                   キウイの
                   中身を
                   スプーンで思い切り
                   皮すれすれまで
                   掬い取り

                   ほれ
                   みろ
                   言ったとおりだろ
                  
                   もう
                   お口のなかで
                   いがいがしない

                   毎日
                   すっきり
                   からっぽの
                   心が満たされる

                   バアムクーヘンなんか
                   へっちゃらさ

                   もう
                   むしゃむしゃ
                   くってやるさ

つきのなみだ

2021-12-11 21:47:56 | 日記
                       つきのなみだ


                    夏は
                    いつのまにか過ぎ行き
                    秋がきたのに
                    夏にひきもどされ
                    ずるずると
                    足どり重く
                    
                    いしは
                    おもくのしかかり
                    とげとげの
                    くさりが
                    ささっている
                    このように
                    むしばまれて
                    いくことが
                    冬がきたということなのか

                    おきなわのふゆは
                    なまあたたかく
                    風がそよぎ
                    ゆうがたには
                    白い花の香りが
                    ただよっている

                    ただ
                    ほそながく尖った
                    しろい月が
                    ひえびえと
                    青白い空に
                    浮かんでいるだけで

                    したたりおちる
                    なみだ
                    ひとつ