ひとり言 ひとつふたつ詩集

沖縄から詩をつぶやきます。

西日

2020-11-30 23:04:43 | 日記
                           西日


                    西日の差し込むそこで
                    玄関にあった新聞を開いたのだ
                    胸の高鳴りは頂点

                    通りのつきあたり
                    向かいはブロック塀
                    紺色の制服は
                    実習の最中で
                    歩道橋の下に本屋さんとしゃれた喫茶店があった
           
                    居場所のない
                    迷子は
                    詩を書き散らして
                    投稿していた
                    あの日
                    西日でほてった頬が
                    じりじりと

                    どうしていいかわからず
                    暴れまわる
                    迷子を
                    抱えながら
                    取り繕っていた

                    あの西日は
                    いまは
                    モノレールが立ち止まる
                    建物の一角の
                    陰に
                    ひっそりと
                    隠れてしまった

                    あの夏の西日のいたみが
                    まだ残っている

                    
                    
                   
                    

ぎざぎざの夢

2020-11-28 22:26:56 | 日記

                           ぎざぎざの夢

                   おはよう
                   朝の空
                   青い空
                   白い雲
                   風は冬の匂い
                   まだ空には陽の光は届いていない

                   こんにちは
                   とろりといねむりをしていたら
                   陽は空に高くのぼり
                   ばさっばさっと
                   南の冬の風は元気がよすぎて
                   幹ごと揺れている
                   昼すぎには
                   陽はかたむき
                   夕やけがしのんでくるのだが

                   暗がり始めた西の空に
                   まだ橙色の残る陽をかきあつめて
                   闇に抗いながら

                   胸にたまった重さが夜
                   こんばんは
                   つぎの朝のために
                   夜の闇の中で夢をみる

                   朝
                   夢はぎざぎざ
                   ざーざー

                   
                   
                   
                   
                   
                   

夜叉

2020-11-26 23:15:42 | 日記
                       夜叉


                   口が裂けている
                   真っ赤なくちびるがにやり

                   白目を剥いて
                   にらんでいるよ

                   頭の先の両方から
                   突き出ている角

                   その手の爪が
                   尖ってむき出し

                   こちらに向かって
                   イトを吐き出しきりきりと

                   あーそれは夜叉だ
                   暗闇で走り回っている

                   どうして昼間の明るさの中では
                   楽しげにスキップしているのに

                   大嘘を平気でついて
                   笑っていられるのか
                       
                       昼間
                       眼を閉じて夜を作る
                       夜
                       暗闇の中で灯りを見つける
                       いつでも
                       そうやって
                       乗り越えてきたじゃないのか
                       嵐の中でも
                       ひらっぺたく
                       のされたと思っているときでも

                   夜叉もまたひと
                   ひとが作り出した
                   
                       
                       
                   

                   

出発のうた

2020-11-21 22:59:12 | 日記

                      出発のうた

                   ここに在るよ
                   ここから
                   過去にたどり
                   手繰り寄せて

                   さみしかったので
                   さみしいと
                   つぶやいても
                   叫んでも
                   声にもならない

                   土の中で
                   息苦しく
                   ここをでようと
                   さまよっても
                   あなぐらに戻ってしまうんだ

                   しょうがないでしょ
                   足は2本で
                   翼はなくて
                   手のひらには
                   5本の指が広がって

                   この指は
                   大事なので
                   向こうの
                   空に向かって
                   指差している

                   あなぐらから
                   青い空に向かって
                   

あしたのじょ

2020-11-20 23:57:33 | 日記

                        あしたのじょ


                    神のみぞ知る
                    わたしたちのあした

                    じじょ
                    わたしはちょうじょですから
                    泣きの涙で助けを求められたら
                    ほどこさねばならない
                    と
                    きょうじょ

                    毎日
                    数字で頭を押さえつけられて
                    鬱屈
                    きょうじょとなり
                    くるうおんながひとり
                    京都の大原にも
                    いけやせぬ
                    いけのこいもみることができず
                    おののこまち
                    の
                    おいらく

                    かみのてで
                    おすくいくださいまし
                    路上のびじょには
                    きずながあるのでしょうか

                    すねは傷だらけ
                    ねこがじゃれて
                    くいついてくるのだ
                    くらいつきたい
                    公的機関は
                    きのうせず

                    あしたはどっちだ
                    じょうがさけんでいる

                    ムンクの叫び
                    は
                    現代では
                    くちゃおじさんの
                    口からばいきんです

                    静かなるマスク会食で
                    たのしくもなく
                    あじけなく

                    このごろ
                    ご飯がおいしくございません
                    管理されるお食事方式

                    左指でマスクを取って
                    おはしですくいとり
                    お口に放り込んで
                    のみこんだら
                    マスクをしてください
                    とな
                    
                    なんと!

                    あしたはほんとにどっちだ?