ひとり言 ひとつふたつ詩集

沖縄から詩をつぶやきます。

しがらみ

2018-06-24 22:57:08 | 日記

                   しがらみ



               ゆらゆらり
               かみだとおもったら
               もずく
               も
               こんぶ
               ゆらゆら
               ゆれて
               からみついて
               なげすててもなげすてても
               からみつく
               まとわりつく
               べっとり



               すてることも
               わすれることも
               にげることもできず
               おいかけてきては
               からみつく



               湿気を帯び
               べとべとと
               張り付いて
               離れない



               逃れようもない
               二重螺旋の
               濃い
               DNA
               真っ赤かな
               むしろ
               黒に近い
               


               ながれは
               どろどろっと
               にぶく



               清流から
               泥水へ
 
               



               

生もの

2018-06-23 00:02:27 | 日記
                      生もの



                 生ものを差し出されて
                 生臭いったらありゃしない
                 むき出しの
                 ある意味正直な生のままで



                 触れ合うのも
                 休み休みの
                 腹八分が
                 健康によろしかろう




                 かける言葉が
                 行き違いで
                 とげにもなるなんて
                 知ってはいたけどさ



                 難しい


                 
                 わたしゃー疲れちまった
                 あまりに疲れちまうと
                 肩の辺りにほこりが落ちて
                 汚れちまうのかもしれないな
     

          
                 汚れちまったのがわからなくて
                 ほっといたら
                 歯槽膿漏で
                 全身に毒素が
                 めぐりめぐって
                 


                 汚れちまった悲しみが
                 体から
                 噴きだして
                 ひとくせー
                 あせくせー


                 それこそ生ぐせー
                 自分をどうしていいかわからずに
                 おひとさまに
                 やさしくなんて
                 できねーさ



                 あー腐ってきましたね
                 いや
                 あっしのはかわいいもんで
                 マイク向けられたあいつらなんて
                 いやらしい生笑いの
                 いかにも
                 もう
                 民草どもめと
                 せせらわらっているのが
                 みてとれるから


                 生臭さのきわみだ
                 あたり一面
                 くさい
                 

                 ばい菌の腐敗臭
                 あっ
                 あっしも
                 生ものそのままだしちまったね
                 かんべんしておくんなせー
                            

落日

2018-06-19 20:51:26 | 日記

                   落日




                夕暮れの
                大きなオレンジ色
                海の上に
                落ちていく



                雲は
                鉛色
                重く
                たなびいて


                朝の
                清らかな
                空気は
                いつのまにか
                よどんで



                立ち止まった
                階段のてっぺんから
                崩れていく
                空を見つめている



                何事もなかったかのように
                浮かれている
                雨後の
                建物が
                並んで


                
                蜃気楼の地上
                

少年

2018-06-10 21:32:23 | 日記
                  少年



               ぼくが
               少年だったとき
               小高い丘で
               手のひらを
               大空に向けると
               白い鳩が飛び立っていったよ




               ぼくは
               それから背が伸びて
               小高い丘に登ることもなくなって
               友達と一緒に
               近所の路地で駆けっこを
               あきもせずに
               夕暮れまでやっていたよ
                          


               空が
               とっぷりと
               漆黒の闇になるころには
               ぼくは
               かなしくなって
               家から
               外へ抜け出し
               夜の中に隠れて
               琥珀の森に
               さまよってしまったのさ



               ぼくは
               もうどこにもない
               幻の樹を探し回って
               ここまできてしまった


               
               ぼくという
               小さな少年は
               写真の中にしか住んでいない


               誰もが
               丸坊主だった少年
               
              
               

兄ちゃんの新しい夏

2018-06-06 21:26:54 | 日記
                        兄ちゃんの新しい夏



                     兄ちゃんは
                     楽しそうに
                     何もない1日を過ごしている
                     髪を刈り込み
                     



                     ごぼうとにんじんときゃべつと鳥の胸肉を
                     煮込み
                     スープを作り
                     自分のリズムで
                     時間を区切り
                     ごーやーを植え
                     ささやかな収穫を
                     喜び
                     渡されたお金を切り詰めて
                     お買い物をして




                     なくした自分を取り返そうとして
                     出てこない言葉を
                     必死に探して
                     走り回り



                    
                     少しずつ
                     自分が何者であるのかを
                     
                     思い出している