ひとり言 ひとつふたつ詩集

沖縄から詩をつぶやきます。

雨の国際通り・・・@おきなわ

2013-02-22 16:23:07 | 日記
                              雨の国際通りで


                           雨の金曜日
                           国際通り
                           
                           見慣れているはずの風景なのに
                           パーキングの看板が
                           昔あった建物のかわりに
                           手招き

                           雨の金曜日
                           傘をさして
                           歩くはずが
                           でこぼこの
                           車で
                           のろのろと

                           前の車
                           「わ」ナンバーのヴィッツ

                           交差点で
                           軽トラと
                           ワゴンと
                           でこぼこの
                           私の車が
                           三つ巴で
                           あたまをつっこみ

                           どうしていいかわからずに右によって
                           右往左往

                           見慣れたはずの風景が
                           いつのまにか
                           朽ちかけた
                           ぼろい
                           観光ホテル
                           1泊1000円

                           落書きは
                           書きなぐった意味不明の文字

                           雨の金曜日
                           国際通り

                           平和通りの入口で
                           らっきょう売りの白い手ぬぐい
                           姉さんかぶりのおばさんが
                           ゆらゆらと
                           錆びついた椅子に
                           
                           うなだれて
                           座っているのか
                           かすんで
                           透けて見える

                           雨の国際通り
                           かすんで
                          
                           あるいている
                           おきなわんは
                           いない
                           

真っ赤な火鍋

2013-02-22 15:47:30 | 日記


                               火鍋、ふたたび


                          火鍋
                          煮詰まった
                          しょっぱい

                          あちちっ
                          あちちっ

                          やらせの
                          鍋なのか
                          自分たちで火をつけた
                          鍋なのか

                          いい機会の食べごろの
                          火鍋
                          はしを入れた
                          ごしんぞうさん
                          隣で
                          深海魚を口にくわえて
                          
                          ぺっと
                          はきだした

                          火鍋
                          あっちこっち

                          火だね
                          が
                          ちろちろ
                          と
                          地球丸ごと
                          ことこと
                          煮だして

                          地球が
                          火のたまだと知っているくせに
                          
                          金の小判に目が眩んだのか
                          地球を
                          火鍋どころか

                          地球を
                          火だるまにした

                          ヒトよ
                          
                         

あがさ・くりすてぃーのように

2013-02-21 20:11:10 | 日記
                              記憶殺し


                       ぷくぷくり
                  
                       泡ぶく
                       泡
                       泡

                       あわわっ
                       
                       阿波
                       阿波
                       阿波踊り

                       あわわっ
                      
                       思い出したくない
                       赤っ恥

                       青い顔
                       さぶっ

                       思い出すことを
                       記憶の底に放り投げ

                       浮き上がらないように

                       底に沈める

                       暗闇の底深く
                    
                       暗い
                       暗い
                       
                       奥底
                       盲目の魚類が住む
                       

ざくろ

2013-02-20 20:02:29 | 日記


                         ざくろ

                       暗赤色の皮をむくと
                       ぷりっと
                       白い実

                       ざらっざたっと
                       舌でざらつく実の中の種
                       
                       ざくろの実
                 
                       暗赤色の皮の中で
                       小さな小さな種が
                       ざらざらと
                       猫の舌の感触
                       柔らかな白い実でくるまれている

                       つーと
                       糸を引き
                       赤い涙が

                       流れて
                       融けていった
                      
                       ざらついた種が
                       噛み砕かれ
                      
                       呑み込むと
                       
                       さみしくはない

                       すべてが
                       つながる
                       根っこは
                       地面の中
                       
                       土の
                       中で
                       融けあう
                      
                       元始
                       原始

                       原子
                       

行列のできる施設

2013-02-18 21:17:08 | 日記
                        行列


                 高齢者の椅子には
                 車がついています

                 高齢者はわらって
                 なされるままに
                 世話をうけています

                 こころが
                 いたみます
                 でも
                 むしろのないやまに
                 すてられたわけではありません

                 かねをだして
                 そして
                 若者に雇用を
                 与えています

                 きょう
                 家族に伴われてきた
                 女性の高齢者が
                 孫と話をしていました
                 「ばーちゃん
                  尖閣にね
                  今日も船が入ってきたって
                  これ、ばあーちゃんの携帯と似ているけど
                  テレビが映るんだよ、ほらね」
                 「日本はね
                  満州事変から日中戦争になって
                  それからね、真珠湾で戦争を始めて
                  沖縄がこうなったんだよ
                  戦艦大和がね 沖縄に向かっていたけど途中で撃たれて
                  沈没したんだよ」
                
                 ベレー帽の車いすのひと
                 高齢者とひとくくりにしてはいけない

                    赤い瓦屋根の軒先で
                    さんぴん茶と黒糖の茶うけ

                    「ちゃーびらさい
                     おばー、ちゃーがんじゅう、やいびーみ」

                    どこに消えたのかな
                    おばーとおじー
                    どこにもいない

                 施設の中でね
                 車いすが
                 きーこきーこ

                 「べんじょんかい そーてぃいき」

                 きーこきーこ
                 並んで待つ
                 
                 寂しい行列