ひとり言 ひとつふたつ詩集

沖縄から詩をつぶやきます。

ひゅうまん・えらー

2014-02-27 14:15:12 | 日記

                      ひゅうまん・えらー


                   船は流氷の中
                   動きが止まり
                   

                   かじ取りは
                   右に旋回させ
                   白熊や海豹を
                   船底で
                   押しつぶし
                   なぎ倒し


                   どこに進んでいくのか


                   白い狐が
                   コーンと泣いた
                   親熊が
                   子熊を抱いたまま


                   飢え死にしている



                   訴えられない
                   地球のてっぺんの遠くで


                   北風が境目を超えて
                   降りてきて
                   ひゅうひゅう
                   
                   哭いているよ


                   地球に住む生き物は
                   あんたたちだけではない


                   ひゅう
                   ひゅう



                   ひゅうー
                   ひゅうー

                   まーん

                   まーん
                   
                   
      

                   
                   
                   

存在

2014-02-22 17:54:21 | 日記
                              わたしがいる

                          
                          わたしの
                          かあさんのおかあさんのそのおかあさんのおかあさんの
                          おかあさんは
                          もう誰だかわからないが
                          光の中で
                          笑っている

                        
                          ごめんねが
                          口癖で  


                          ごめんね、という
                          のが
                          いつのまにか
                          口癖になって

                          
                          いじめられていたのか
                          いじめられてきたのか
                          いつのまにか
                          人嫌いで


                          いつも
                          ひとりで
                          窓から外を眺め
                          空の
                          雲に
                          姿形を見つけていたのさ


                          わたしの
                          とうさんのおとうさんのおとうさんは
                          お家とお墓を若いうちにつくり残し
                         

                          娘たちと一人息子を心配しながら
                          お墓に入った

                          藍色の着物をつけて
                          夕方の畑道を
                          
                          歩いた


                          痛めた足は
                          すでによくなり
                          夕暮れの
                          田舎道に消えていった、と


                          そして
                          太陽が降り注ぐ
                          土曜日の昼間に

                          朽ちそうな古い家の庭
                          大きなガジュマルの下で
                          空を見上げて
                          風の音を聞いて
                     
               
                          立っている



            
                           
                          
                          

冬の挨拶

2014-02-22 15:27:53 | 日記
                         冬のご挨拶



                     お元気ですか?
              
                     青空だったのに
                     今、曇ってきました。

                     冬の少し肌寒い風が吹いています。
                     静かに。
                     

                       さーさー
                       さっさっさっー

                       この風は北風
                       北からの


                       北は
                       雪
                       大雪

                       白い壁に閉じ込めて
                       人々は
                       奥歯を噛み
                       ものも言えず
                       がちがちと
                       震えている


                       ものをいわねば
                       唇は
                       動かぬ

                       もうすでに
                       震えは止まらず
                       極寒の
                       白の世界か


                       深緑の
                       迷彩色の

                     
                       ジャングルを彷徨う
                       兵士が
                       つくられているのか


                       繰り返す
                       過ちは
                       その歴史の中に組み込まれていたのか



                    寒い朝
                    猫が
                    まだ夜の明けない
                    庭に飛び出していきました。


                    大きな猫にも恐れることなく。
                     

春の闇は白い

2014-02-20 15:20:13 | 日記

                         白い闇


                      春の闇
                      白い

                      テレビの中で
                      雪が降り積もり

                      雪に閉ざされ
                      白一色に闇



                      誰も来ない
                      笑いながら
                      諦めている


                      やさしさを
                      空から
                      降らして

                      暖かなわた
                      温めるわた


                      白い祭典は
                      欲にからめとられて
                      筋肉を
                      硬直させ

                      白鳥は
                      翼を
                      折られた


                      白ではなく
                      透明ならば

                      
                      重さがなく
                      ただただ
                      空に
                      気化していけば


                      無

      
                      夢の中で
                      我を忘れて
                      呆ける


                      無我夢中
                      
                      
                      

銭っこ

2014-02-16 16:55:32 | 日記

                          石の銭


                       小さなライオン
                       鋭利な爪
                       牙をむきだし

                       動くものを追いかけ
                       足音もなく
                       忍び寄り

                       飛びかかる

                       首に気をつけろ

                       頸動脈の場所は
                       もうすでに知られてしまった
                       

                       忍び込むのは簡単
                       その頭の中身は
                       3Dでスキャンしてあるから
                       感情も理性も
                       管理している


                       囚われた
                       島々で
                       自由の様相で
                       お買い物をする
                       という
                       消費を
                       強いる


                       大きな石の輪の銭
                       足かせ