ひとり言 ひとつふたつ詩集

沖縄から詩をつぶやきます。

お手玉

2020-02-29 22:51:37 | 日記
                          お手玉


                    ムンクが叫んだ
                    ゆがんだ夕空

                    ゆがみも
                    過ぎると
                    直線になるのかな

                    柔道一直線
                    強獣流
                    猪より猪突猛進
                    自分のために
                    
                    戦前通りすぎて
                    もはや
                    戦中かな

                    地球丸ごと
                    アルコール洗浄
                    ごしごし
                    洗いたい

                    言葉を寄せ集めて
                    どうにか
                    気を引こうとして
                    
                    中身はなんだったのか
                    つまりは
                    わたしの権力を
                    延々と
                    私物化しておきたいのであります

                    そんなに
                    うまいもんなのか
                    
                    地球を手玉にして
                    遊ぶ
                    だれか
                    みたい
                    
                               
                    
                    

わが紙飛行機

2020-02-27 19:28:07 | 日記
                       わが紙飛行機

                   不器用に
                   紙飛行機を折って
                   飛ばした

                   どんなふうに
                   どこへ飛んでいくのか
                   わからない

                   飛ばした
                   自分の
                   指先が
                   どこを指しているのか
                   わからない

                   飛ばしたのはいいが
                   飛び跳ねて
                   うれしいかと思ったら
                   妙に
                   空っぽに
                   しらーっと
                   空の向こうを見ている

                   さて
                   この紙飛行機
                   誰の眼に触れるのやら
                   誰に託して
                   どうなっていくのやら

                   しらじらと
                   朝の空に
                   ふわっと
                   もう一度
                   わが手で
                   飛ばしてみるか
                   
                   

黒い鳥

2020-02-26 19:59:13 | 日記
                         黒い鳥


                    ブラックバード
                    ケッケッケーと
                    空の高いところでないている

                    何も見てなくて
                    ボーっと
                    うつむいて歩いていたら
                    段差に気づかず
                    いきなり
                    断崖から落ちて
                    転げた

                    ころり
                    ころころ
                    ころり

                    転げるな
                    
                    地球の端っこ
                    から
                    落っこちたと
                    思ったら
                    手を差し伸べてとめてくれた

                    地球は丸くて
                    つるりと
                    ころころ
                    回るだけで

                    この世界の終わりかと思ったら
                    声をかけ
                    肩丸めて
                    とぼとぼと歩く横で
                    心配をしてくれる

                    情けない思いで
                    地球みな兄弟
        
                    いっせいに
                    大声で泣き叫び
                    おびえ

                    ふるえている

                    ブラックバード
                    早く消えうせろ
                    
                    
                    

新しい闇市

2020-02-22 18:50:14 | 日記
                        新しい闇市

                    
                    市中引き回しの上
                    広場に集まった人々に
                    広がる
                    指差し確認
 
                    みえない
                    冠を
                    かぶって
                    ふんぞりかえって
                    行進すれば
      
                    「あれは何も身に付けていないよ
                     裸だよ」
                    と叫んでも
                    誰も振り返らず
                    誰も耳を傾けない

                    煙は
                    白色
                    紫
                    灰色
                    無色透明の
                    みえない
                    煙は
                    始末が悪い

                    真っ黒けの
                    影が
                    じわじわと
                    忍び込み

                    いつかの時代の
                    蔓延した
                    息苦しさ

                    開け放した
                    屋根のついた
                    がまで
                    じっとこもっている
                    
                    


アジアの孤独

2020-02-20 21:57:31 | 日記
                      アジアの孤独

                  開いた口から
                 雨粒

                 もはや
                 この雨粒も
                 黒い雨か

                 風は
                 一回りして
                 暖かい
                 
                 ぬるくなった
                 風が
                 顔をなでる

                 なでているその手は
                 のど元を
                 ゆっくりと
                 絞めているのか

                 呼吸することが
                 恐怖になろうとは

                 あの山火事は
                 人間が生み出し
                 人間に襲いかかろうとしているのか

                 かつての
                 鳥人間のシルエット
                 
                 放り投げる
                 堀

                 開いた口に
                 降り続く
                 雨は
                 かつて経験したはずなのに

                 希望を探して歩くには
                 おそるおそるの
                 忍び足

                 ゆううつな
                 うっとうしい
                 冬なのか
                 夏なのか
                 わからない
                 
                 不愉快な
                 近寄れない
                 ひととひとの
                 間

                 ・・・咳をしても一人
                 咳をしたらぎょと眼を剥かれ
                 ろうがいよりもなお戸口を走り逃げ

                 アジアの孤独