ひとり言 ひとつふたつ詩集

沖縄から詩をつぶやきます。

今日の問題、山積

2019-07-28 15:47:15 | 日記
                   今日の問題、山積

                近所のおばちゃんは
                だんなさんを失ってから
                ひとりぼっちになりました

                ふだん
                話し相手がいないので

                土曜日の朝
                表の落ち葉をお掃除する
                わたしを
                みつけると
                うれしそうに
                話しかけてきます

                「もうね
                 おとうさんがいないから
                 庭を掃除する人がいなくてね
                 草ぼうぼうでさ
                 息子に頼んだら
                 忙しくてできないって
                 これは子供も二人できたのに
                 離婚するから
                 仕送りで
                 たくさん仕事引き受けているわけ

                 もうさ
                 きょうで後期高齢者になったから
                 後期高齢者手帳が来るってさ
                 なんで、人を後期高齢者って線引きするのかね
                 
                 息子がさ
                 庭も掃除できないんだったら
                 この家、売り払って、マンションに住みなさいっていうんだよ
                 実家があった海の見える土地にいつかマンション建ったら
                 移ってもいいけど
                 今基地の中なんだよ、実家のあった土地
                 戦後に追い出されてね
                 お父さんは戦争で南部のどこで死んだかわからない
                 お母さんは5人も子供を抱えて苦労したんだよ
                 お兄さんやお姉さんは妹、弟を学校出すため軍作業にでてね
                 あんするむんねぅ(そうであるのに)
                 よく沖縄を足蹴にして、基地おしつけて
                 本土の人は自分のところに基地がきそうになったら
                 反対して、そしてお偉い方がごめんなさいっていうのにね
                 沖縄を、うっしぇ-って(差別して)いるわけよ

                 沖縄は経済を強くしたら、ひとり立ちして
                 じぶんたちでできたらいいのにね

                 あんしが(だけど)
                 子供たちに苦労させないようにって甘やかしすぎたかねえ
                 親のことも考えない、ひとの事も考えない
                 自分がよければいいというかんげえー(考え)の人たちが多いでしょう
                 ちゃーがすらー(どうなるんでしょうかね)

                 あいあい、しゃべりすぎた、ごめんね
                 ねこちゃんがないて、文句言っている
                 じゃあね、またね。」

はすのはなのたね

2019-07-25 17:36:06 | 日記
                    はすのはなのたね

                にこにこと
                「なんでもきいてください
                お答えしますよ
                わたしたちは
                皆さんに支えられて
                引きこもりを脱して
                おしごともできますし
                なにより、皆さんと接することが楽しいです
                皆さんのありがとうが生きがいで働き甲斐です」

                多数の学生に囲まれて
                微笑を浮かべて
                そんなふうに
                設定されたインタビューの時間に
                静かに話すのは

                生きづらさを抱えたひと

                その笑顔と
                静かな
                遠慮がちのたたずまいに

                誠実に生きるとは
                こういうことではないかと

                たくさんの欲に
                まみれている
                自分と比べてしまったのだ
                
                感情の大波小波に
                ゆすぶられ
                生き難い
                と
                思うことがあるとしても
                神経のゆれに
                耐えられず
                その重さで
                ブランコを
                支える綱が切れてしまうのかもしれない

                微かな
                バランスをとっている
                はすのはながおちたあとの
                穴ぼこに降り注ぐ
                小雨
                
                
                

                
                

2019-07-24 14:01:31 | 日記
                汗


          真夏の昼間は
          クーラーの効いた部屋からでると
          汗がじわっと
          なにもしなくても
          じわっと
          しみだしてくる

          太陽はしろく
          鏡から反射するひかり 
          くらっくらっと
          めまいがする

          しろい夏なんて
          あのころの
          しろい砂埃の道から
          ずっと
          続いていて
          懐かしくなる

          街路樹の柳もない
          国際通りを歩いたら
          ほんとに
          国際通りだった
          影もなく
          知らない言葉が
          うしろからまえから
          ぞろぞろ

          首里バスも那覇バスもなくて
          まぼろしのねこバスがくるのを待っていた

          風はコンクリートを行き過ぎる熱風
          アジアン風

          切り売りする
          沖縄ブランドは
          食いちぎられて
          いつわりのおきなわ
          レッテルだけのおきなわ

          チャンプルーも交ぜ混ぜしすぎると
          ごみになりはしないかと
          うつむいてしまう

          汗は
          だらだらと
          涼しげな大人になれず
          麦わら帽子が
          よれて
          さびしい

          汗だくのじんせい
          

狂ったりんごのみ

2019-07-22 18:55:00 | 日記
                      狂ったりんごのみ

               病院のベッドで
               患者と呼ばれている人が言いました

               「かんごふさんが、こわくてよー
                待っておきなさい、って 言ったでしょう
                って、怒るんだよ
                おしっこ、もれそうだ、って言っているのによー」

         
               もう一人の人も言いました
               「かんごふさんよー冷たくてさ            
                話しかけられない
                うとぅるさ(恐ろしい)よー
                あんすか(そんなに)いそがしんだはず
               先生ん、コンピューターしかみてないさー
               なんでかねー
               病院かいや、いかんしがましやさ(いかない方がいいさ)

              いのちを預かっているはずだけど
              お金のもとあずかっているんかねー
              3ヶ月以上病院にいると
              診療報酬というものが減るんだってよ
              病院に収入が入らんわけさ
              自宅に帰れって いわれてもね
              みる人いないしね
              訪問看護っていってもね
              これもお金の算段があるわけさ

             あいえなー
             命を守る医療でぃいいしぇ(というものは)
             まーんかい いちゃるさが(どこにいったのでしょうか)
             あんすくとぅ(そうであるから)
             ひーつけて歩く人もいるし
             ほうーちゃー(包丁)ふりまわすひとがいるんだはずよ」

             くるくるぱーの世の中
             だから 見放されて
             背を向けて
             お笑いさえ
             わらえない

暴走列車

2019-07-19 15:30:40 | 日記
                    暴走列車

               ぐらぐらと
               大黒柱が
               右左にゆがんで
               大きな屋根が
               崩れおちないか
               と
               気分が悪くならないように
               バランスを取る努力をしている
               

               こころ定まらず
                              

               タイフーンが引き連れた
               大雨になりそうな
               真っ黒な雲

               満ち足りた
               毎日のはずなのに
               
               地団太を踏んでも
               慰めがない
               深刻な
               闇夜を抱えた
               ひと
               小さな部屋で
               ひざを抱えていた
               が
         
               いきなり
               凶器を
               振りかざし

               どこかで
               歯車が
               外れて
               脱線
               の
               ぼうそう

               闇が
               病みを生み
               膿が
               国という
               家を
               腐食させている