ひとり言 ひとつふたつ詩集

沖縄から詩をつぶやきます。

ふるさとへ

2023-12-28 20:24:16 | 日記
                     ふるさとへ


                  その家は
                  なんも変わらなかった
                  変わったといえば
                  庭に3台の車が置かれていた

                  広い畳の間
                  仏壇は古く質素で

                  そこに母の姉がいたので
                  笑顔の写真に安心した
                  
                  もうすぐそこにもいけなくなるかもしれない
                  と思ったら
                  かなしいよりいとしく
                  今日訪ねてよかった
                  と
                  知っている人がいなくなり
                  変わっていくふるさとに
                  変わらないなつかしさが
                  あふれた

                    年上のいとこは
                    幼かったころの
                    やさしさで
                    これもたべ、あれもたべ
                    とすすめてくれるから
                    急に
                    小さなこどもになって
                    
                  お歳暮をもって
                  ふるさとを訪ねる
                  面倒さが消えてしまっていた

                    コザのショッピングセンターは
                    憧れの
                    きらきらしたお店で
                    小さかったときには
                    いけなかったよ
                    いまでも
                    お高い品物がいっぱい

                    ケーキ屋のおねーさんとは
                    かおなじみになって
                    珈琲飲んでいたら
                    あまりにもくつろいで
                    夜になってしまうから
                    もう帰りますね
                    といったら
                    お泊りしなさい
                    と笑うから
                    お泊りセット忘れてきたから
                    今度ね
                    と
                    暗くなった
                    大通りを
                    
                    変わらない毎日に
                    もどっていったよ

                  こどもから
                  もうもどることがない
                  おとなに

                  もうすぐ
                  新しいとしがやってくる
                    
                    

                  

べとべと

2023-12-24 21:40:20 | 日記

                     べとべと   


                  ぷちぷちと
                  やぶれていく
                  荷物の中のクッション

                  自分で
                  ぷちぷちと
                  つぶしていったのかもしれない

                  朝のニュースで
                  つぶれていく
                  平和な風景
                  砂埃で
                  前が見えない

                  クリスマスのイルミネーションも
                  暗くて見えない
                  
                  テーブルのケーキが
                  味気なく
                  苦い珈琲で
                  喉に流し込んでいる

                  冷たい小雨が
                  街をぬらしている

                  砂埃は
                  ぬかるみになるだけで
                  
                  泥沼

                  ちっとも
                  うるおわない

                  あした
                  クリスマス
                  べとべとの
                  ケーキは
                  食べることはできない

                  偽者のクリーム

しん・解体新書

2023-12-12 23:18:42 | 日記
                      しん・解体新書

                    ひんやりした風が吹いていた
                  

                    灰色の雲
                    ぱらぱらと雨が落ちてくる


                    熱いコーヒーのカップに
                    手のひらが温かい

                    きのう
                    たくさんのことばが
                    おしよせて
                    耳の奥にこだまになり
                    なかにはいってこない
                    静かに黙って聞き取り
                    くるりくるりと
                    ひとまわりして
                    なにがいいたいのか
                    わかるようになりたいのに

                    こわかったんだ
                    真実というものが
                    めのまえで
                    あきらかになるのが

                    ターヘルアナトミア

                    気分が悪くなる
                    実はなにもみたくない
                    なにもききたくない

                    
                    

                    
                    
                  

おかわりなく

2023-12-07 22:35:13 | 日記

                        おかわりなく

                    夕方
                    陽が落ちるとき
                    おれんじと青の間に金色の
                    ひかりが

                    もうしばらく
                    悲しいことがあっても
                    この世界にいさせて

                    うつむき   
                    倒れそうな気持ちになっても
                    やはり
                    急ぎ足で
                    去っていった人たちの分まで
                  
                    この世界にさす
                    ひかりをみていたいよ

                    みっともなく
                    あがいていても

                    もうしばらく
                    この世界のひかりを
                    あじわっていたい

                    閉じたこころが
                    あっ
                    いま
                    世界に開いて
                    何か見つけたような気がした
                    のに
                    
                    さわやかな風
                    そっと
                    入ってきたような気がしたのに

                    ばたんと
  
                    閉じてしまった

                    かわりありません
                    の
                    いらだたしさ
                    に
                    きょうがあすになっていく

                    

                    
                    

感謝

2023-12-04 21:56:27 | 日記
                       感謝


                  あのね
                  いいたいことがあったのに
                  つぎのしゅんかん
                  きえてしまったのだよ

                  あのね
                  おとなになって
                  だいじょうぶなこころができあがった
                  と
                  おもったのに
                  ぽろぽろと
                  もろく
                  くずれそうな

                  あさは
                  きぶんがわるくならないかと
                  おそるおそるおきるなんて
                  おもってもみなかった
                  げんきよく
                  カーテンをあけ
                  朝日をあびて
                  一日ごきげんに
                  すごすことを
                  毎日
                  きたいしている

                  どんな夢を
                  みていたのだろう

                  おぼえている
                  小さいときからの
                  たのしかったことを
                  かぞえている

                    ニュースは
                    ひどい出来事があふれているから
                    もう見ていられない
                    戦争を中継か
                    世界が
                    崩れていく場面ばかり
                    夢を見ようにも
                    これじゃ
                    逃げられない

                    日常が
                    まだあるからいいのか

                    珈琲屋によって
                    ドーナツを食べた
                    コーヒーが
                    香ばしく
                    おいしく感じられたのは
                    しあわせ

                  生きていることが
                  奇跡で
                  ありがたい
                  感謝すべきこと