令和今昔物語
あるところに
おじさんがいました
おじさんの頭は
バーコードで
目はあいているのか
とじているんだかわかりません
不気味な
意味不明な言葉を使い
おじさんの乗っている船は
大海原で
どんぶらどんぶら
どこにいこうとしているのかわからない
羅針盤もない
だれが
その船を動かしているんだか
わからない
前いたおじさんの言う通りなのか
金目で動くんだか
人目気にして動くんだか
ある日のこと
船の中で乗り込んでいる人々が
こほこほごほっと
咳き込んで倒れて
息ができなくなっていくのでした
おじさんは
おろおろもせず
ただまっすぐに
金蔵のある島を目指していけ
いけー
ただまっすぐにつっこんでいけー
と号令をかけたのでした
方向も定まらず
みなばたばたと倒れこみ
おじさんのおそばの方々は
なんだかしらないが
右へ倣えで
いけーいけーというのみでした
方向を示せる人たちも
こちらの方向へ行きますと
船が壊れますよ
と
小声で言っても聞くわけもなく
もしかするとぶつからずにすむかもですね
と
ばたばたと倒れる人たちを介抱する人は
走り回り
重い介抱の道具を背負い
走り回り
疲れ果て
その介抱を見たことない人たちは
介抱される人たちから
ばい菌をもらっているかもしれないから
あっちいけ
と
ののしるのでした
おじさんの周りの偉い人たちは
奥座敷でおやすみになって
偉いというお代金をもらっているのでした
おじさんの旗振りは
どこに何を示しているのかわかりませんので
みんなどうしていいのかわからず
そういうことならば
飲めや歌えも悪くはなかろう
と
飲み食いが
お商売をしている人たちを助けるのであれば
と
どっちも哀れな
おじさんの船は
ドル箱なのか
泥舟なのか
ぶくぶくと
船底は
溶け出しているのでした