ひとり言 ひとつふたつ詩集

沖縄から詩をつぶやきます。

あんちゃんのその後

2017-03-28 21:54:28 | 日記

                    あんちゃんのその後


               あんちゃんの
               頭の中で
               新芽が
               にょきにょき
               にょろにょろと
               枝を伸ばし
                


               失った
               脳細胞が
               顔を出したり
               引っ込んだり
               忘れていた言葉を
               ごめんなさい
               と
               言い直す



               ぼろぼろの
               本を
               ひもで束ねて
               ゴミだし
               埃の積もった床が
               いつのまにか
               あらわれて
               ぴかぴか



               忘れていた
               まっ黒な運動靴が
               真っ白になった



               冷たい風の中に
               春の暖かな日差しがのかってきた
               

猿芝居

2017-03-14 00:15:35 | 日記
                          猿芝居



                  妄想は
                  駆け巡り
                  それが                  
                  駆り立てて
                  走りまわる
                  


                  蒙古襲来
                  ジンギスカンの
                  鉄板の上
                  焦がれてはりついた
                  女は
                  口裂け女のお化け
                  取りついた
                  金の亡者
                  に
                  灰になるまでの
                  欲の皮


                  若い時の老成の
                  化けの皮がはがれ
                  

                  きみの悪い
                  若作りの
                  老醜


                  悪あがきの
                  最後の
                  枯木に火を放って
                  ぼうぼう


                  騙され
                  舌なめずり


                  汚らしい涎か
                  生きるという
                  尊い
                  しがみつきか
                  
                 

東京・回帰

2017-03-05 10:41:38 | 日記


                   
                    東京・回帰




               冷たい風が
               ほほをチクチクと
               刺しているのに
               久しぶりに
               あの建物で
               珈琲を
               味わおうと
               そのドアを押し
               テーブルに
               腰かけた
               ら
               目の鋭いハリネズミが
               駆けつけてきて


               「申し訳ありません
                今夜は金曜日で
                予約で埋まっています
                またのお越しをお待ちしております」

               周りを見渡すと
               テーブルはガラガラ
               妖しげな
               朱い明かりがともり
               

               かつての
               明治の香りが消えて
               そこには
               暗い裏座の
               手代が
               眼を光らしている
               
            

               噴煙は自分の空には降ってこず
               噴煙を
               まき散らす
               その手の
               協力者


          
               その暗さは
               かつての傷を
               再び
               生々しく
               甦らせ
               膿となり
               生傷
               癒えず


               回帰


               外の通りは
               夜の中で
               元禄の時代に
               浸りきっている
               ひとびと
               が
               足早に
               それぞれの目的地へ
               

               どこへ向かっているのか