ひとり言 ひとつふたつ詩集

沖縄から詩をつぶやきます。

炎上

2023-07-21 12:11:47 | 日記


                   炎上


              雨降り
              道に泥の小さな池
              見逃して
              足を入れてしまい
              靴が茶色に濡れ
              ぐっしょり

              そして
              靴が乾かないまま
              雨は降り続き

              雨は
              黒煙を含み
              黒煙はやむことなく
              とめるすべも見つからず
              
              砂漠の砂嵐も巻き込み

              黒煙は
              くすぶる火種に
              火をつけ

              燃え広がり
              またたくまに
              きな臭さを
              膨らませ

              画面から
              六畳間に
              火の粉が飛び

              火事
              炎上

              燃え
              火達磨目前の

              地球よ

青い写真

2023-07-20 17:12:32 | 日記
          

                    青い写真

                久しぶりの
                ボーっと過ごす時間

                時間の流れを気にすることもなく
                追い立てられることもなく

                追い立てるものは
                未来
                錆びていく
                神経や
                過去にすり減らした
                骨の軋み

                1秒後も未来だが
                見えない不安や
                つくっている不安
                に
                追い立てられる

                なにをどうしたいのか
                はっきりしない
                もしかすると
                どうしたいのかはわかっているのだが
                どのように
                形にするのか
                の
                すべがわからないのかもしれない

                ぼんやりした
                青い写真を
                浮き上がらせる
                光を
                探さなくては
                はやく

               

2023-07-13 10:17:18 | 日記
                       鉛


                  鉛の重さを
                  またひとつ飲み込む
                  しずかな朝に
                  ずっしりと

                  友人ではなかった
                  遠くから
                  見ているだけだった
                  優秀な成績の
                  ふっくらした頬に
                  にきびがふたつ、みっつ
                  感情が表れない
                  丸いめがねの奥の瞳
                  茫洋として
                  そこにいつも立っていた

                  それから
                  病院で見かけた
                  白衣の女医さん

                  そのあと
                  ほっつき歩いていた街の通りの
                  眼科クリニックに
                  彼女がいた

                  そして
                  朝の新聞

                  みんなみんな
                  そこに向かっているのか

                  無の暗闇へ

                  受け入れがたい現実

                  遠くから
                  ・・・・・合掌

闇夜

2023-07-11 21:39:07 | 日記

                     闇夜

                   背中のとげとげ
                   とげで
                   ヒトに近づけない
                   刺してしまうから

                   とげとげ
                   とげがあるから
                   背中と背中に距離ができる
                   棘が刺さらないように

                   とげの先がひっかり
                   ささくれ
              
                   ささくれる夕方
                   引き裂かれた
                   はっぱの
                   茶色
                   粉になる
                   夕暮れ時

                   暗闇の時代に突入
                   真っ暗
                   足元が見えないので

                   どこを歩いているのか
                   暗闇の
                   
泥道

                   
                  
                   
                     

不在ー3回忌の兄へー

2023-07-09 18:49:13 | 日記
                      不在ー3回忌の兄へー


                 夏空は
                 3年前と変わらず
                 白い雲がまぶしく
                 窓から入り込んでくる
                 せみの鳴き声も同じで

                 部屋の中の荷物は
                 動かず同じ位置にあり
                 茶碗も動かず
                 机の上の
                 紙も
                 ボールペンも
                 動いていない
              
                 流し台のシンクは
                 乾き
                 石鹸も減らず
                 そのまま
                 そこにある

                 夏の風が
                 部屋に吹き渡り
                 窓からでていき

                 青い夏空の向こうへ
                 流れ去り

                 この部屋の
                 住人は
                 歯ブラシを1本残し
                 覚悟の写真を1枚おいて
                 不在

                 ただ
                 時計が
                 コチコチと
                 話しかけるよ