ちゃいなタウンの世は老けて
梅雨の合間の
夏空が
ぎらつき
沸騰した空気が
喉の奥で
熱くやけている
路地裏の薄暗い壁のどぶに
垣根を越えようとして
落っこちた
天才は
愚かな
ふつうで
遠いお国の
暗闇に足を突っ込んだ
お人よしは
腕を捻じ曲げられ
動きが取れない
しろい細い顔の
のっぺりとした妖怪は
自信を持って
薄笑いをし
札束を手にした思いで
そこにある
モラルというものを
簡単に突き破り
生肉を食らう勢いで
薄目の辮髪が
肉を今か今かと切り落としたい
と
手ぐすねを引いて
うすきみわるい口髭で
嗤っている
ちゃいなタウンのロマンは
消えた