ひとり言 ひとつふたつ詩集

沖縄から詩をつぶやきます。

もうひとつのさよなら

2019-12-30 22:30:04 | 日記

                   もうひとつのさよなら



               新聞の広告の名前
               信頼を寄せていた
               白衣姿の
               あの力強い
               揺るぎのない顔が
               浮かんだ

               同姓同名?
               広告を読み進めて
               頭の中が
               一瞬からっぽ
        
               その人の目が
               じーっと
               こちらを見透かして
               点検をされているようで
               縮んだ

               どかっと
               重厚に
               そこに立っていた
               
               その人が
               もういなくなった

               見上げたら
               きょうは
               雨

               冷たい雨が
               しとしとと

               ぬれた道を
               ころげないように
               
               叱咤激励の
               大晦日の前の夕方
 
               

              
               
               
               

暮れていく

2019-12-29 20:29:57 | 日記
                   暮れていく


               積み上げた過去の紙の山
               棄てずに
               きょうまで
               
               1枚1枚重ねて
               まとめ
               束ねて

               染み付いた汚れ
               ごみと化した
               紙の山

               書きとめた言葉
               メモ

               書き捨てた
               古ぼけた紙

               年を重ねて
               茶色に変色していく

               記憶の中の
               風景

               過去が
               未来に向かっていく
               
               
 

誕生日は母の日

2019-12-27 22:10:08 | 日記

                   誕生日は母の日


               誕生日の奇跡
               
               そのカフェのテーブルで
               どこかで出会ったことがあるらしいひとと
               目が合って

               ご挨拶すると
               あずきの入った箱を手渡され
               プレゼントです
               と

               そのひとは
               サラダにあずきをのせると
               きれいなお花畑ができるよという

               あずきの箱を抱えて
               帰り道
               もときた道に戻ってしまった

               ぐるぐる回りの
               一周
               むかしむかしの
               懐かしい名前で呼ばれて
               ほろり

               鉄棒を
               くるっと
               回転して

               大空が
               茜色

               むかしむかしの
               冬の景色
               ススキが揺れて

               ぽっと
               明かりがついた
               

               
               

               

おしろい

2019-12-24 18:39:38 | 日記

                 おしろい

               
               きらきらに
               輝いていた
               夏の日は

               暑苦しくて
               息苦しくて
               身の置きところがなく
               どうしていいのかわからず

               過ぎ去った日々は
               いつでも
               きらきら
               白くきれいな風景
               ぼやけている

               ぼかしの
               セピヤ色
               何かをかくし
               ただただ着飾り

               粉飾
               粉っぽい
               黒い顔に
               ぱたぱたと
               お粉をはたいて
               白くみせる

               ざらざら
               そして
               さらさら
               と
               立ち消え
               
        



いのちのような

2019-12-23 20:43:51 | 日記
                    いのちのような


               青空のときには
               空を見上げて
               深呼吸をする
               胸の奥まであおくなるような気がして

               曇り空の日は
               灰色の雲から
               降りてくる雨粒を
               待っている

               雨が
               こころに
               しみこんで
               それから
               ぽつり
               ぽつり
               と
               胸の奥に
               ふってくるんだ

               どこからくるのか
               わからない

               言葉の
               あめ

               ぽつり
               ぽつり
               の
               生まれでる

               いのち
               みたいな