ひとり言 ひとつふたつ詩集

沖縄から詩をつぶやきます。

オルゴール

2014-04-29 10:24:23 | 日記

                     オルゴール



                雨に曝されていた
                古い
                小さな木箱



                錆びついて
                あかない
                朽ちてしまいそう


                木の香りも
                木のぬくもりも
                剥がれて


                かさかさの肌に
                生気を失った
                箱


                少しずつ
                少しずつ


                紙ペーパーで磨き
                錆をおとし
                オイルをたらし
                
            
                ねじを巻く
                ゆっくり
                ゆっくり
                きれないように
                ゆるめに



                音が
                カランと


                そして
                ゆっくり
                曲が流れた


                オーバー  ザ  レインボー

キンカン

2014-04-25 15:58:30 | 日記

                   金柑




               金柑には恨みはない
               どころか
               咳止めになったり
               ジャムもおいしいし


               だけど
               金柑頭の
               こじゃれたいまどきの娘っこは
               ゆるせねー



               車の窓ガラスを少し開け
               そこからくわえ煙草の灰を指で落としたのさ
               サングラスが鼻から少しずり落ちていた




               くるくる巻きにカールした茶色の髪を
               指でいじっていったもんさ


              
               「ぱぱーあ、泌尿器科の病院ってもうかるかしら?

                同級生の子がね あっちこっちで研修して
                今度帰ってきたの、親の小児科のクリニック継ぐんだっ
                て?
                うふふ、どんなふうにして・・・?」


               「医者って、お金ざくざく
                私、セレブになるの
                あのベルサイユのばらのようなうちで
                ブランド物を買い集めて、着飾って歩くのよ
                
                習い事して
                顔を磨いて・・・ふふふ」


                足を組みなおしていったもんだ


                金柑頭の
                きんきらきんは
                お口は真っ黒





              

光の話

2014-04-25 15:35:45 | 日記
                     希望という光




                 肉体という着物をまとい
                言葉という記号を使い


                信号を受けて
                動く


                光のエネルギー
      

                
                どこからきて
                どこへいくのか


                集めた光を
                誰のために使うのか
                何のために使うのか


                これを知っているのは
                光の中心
                何も言わず
                何も求めず


                ただ
                ただ


                無心に
                その手を動かせば
                

                向かうべきところへ
                その手は伸びていくのかもしれない
                

                光の集合体へ
                あの大空の向こうへ


                その手が届きますように
             



                
                
                
                

あにさ 2

2014-04-20 14:55:05 | 日記




                   あにさ  2


         
                 あにさは
                 元気でいるか


                 あっちこっち傷んで
                 いつのまにか
                 こんなに年数がたっちまったな



                 周りを見渡したら
                 おとうはいねーし
                 おかあは
                 この前
                 おとうのところにいっちまった


                 子供たちは大きくなって
                 もう
                 おじいやおばあになってしまった


                 おいらは
                 周りもみねーし
                 自分のことさえよーわからなくて
                 大空ばかり眺めているうちに
                 変わってしまった街並みに
                 はっと気が付いたんだ


                 もう
                 こんなに時間が行き過ぎて
                 立ちすくんでばかりもいられねーって
                 あの町の
                 小さな明りのともっていた家はないし
                 

                 歩くこともゆっくりで
                 通っていた道が広くなっていき
                 車の数が増えているんだ


                 遠くから
                 あにさの体を心配しながら
                 

                 道が
                 それぞれの道で
                 それでいいんだと思うようになったよ


                 小さい時のまま
                 白い砂利道をうつむきながら
                 うちに向かって
                 ひたすら歩いていた自分も
                 まだ
                 そのまま歩いている


                 しかたねーさ
                 そんなふうにしか歩けなかったから

                 
                 よく考えたら
                 歩きながら
                 横に誰かがいたような気がする


                 まるっきり
                 ひとりじゃなかったんだって


                 あにさも

                 不器用に
                 ときには
                 器用に歩いていたのかもな


                 体にきーつけて
                 うまく歩いてくれ

                 言わなくてもいいか


                 それじゃあな


                 
               
                 

にんじんや(ひとよ)

2014-04-18 16:05:10 | 日記

                           にんじんや


                       あんどうやるい
                 
                       うり
                       くんねーるーなとーるばあーよ

                       なーなー

                       あまくま
                       ばくだん ぬぅ うとぅ
                       あまくま
                       ぬーがらー
                       そーがさぬぅ
                       ちゃーがすらやー


                       うり
                       なまからや
                       くくる
                       やすんじるくとぅん
                       むじかさるはじ


                       あきとーなー
                       あわり

                       あわりぬぅ
                       なかーちがとーるはじやしが
                   
                       あわりなむん

                       にんじんや



            
                       
                          ひとよ


                       そうですか
                 
                       ほら
                       こんなふうになってしまったわけです

                       もー!もー!


                       あちこち
                       ばくだんのおと
                       あちこち
                       なんだかねー
                       おそろしいこと
                       どうするのでしょうね


                       ほら
                       これからは
                       こころも
                       やすまることは
                       難しいかもしれない


                       なんということ
                       憐れ

                       憐れの                       
                       中身は違うかもしれないが
                   
                       憐れであるよ

                       
                       ひとは