金柑
金柑には恨みはない
どころか
咳止めになったり
ジャムもおいしいし
だけど
金柑頭の
こじゃれたいまどきの娘っこは
ゆるせねー
車の窓ガラスを少し開け
そこからくわえ煙草の灰を指で落としたのさ
サングラスが鼻から少しずり落ちていた
くるくる巻きにカールした茶色の髪を
指でいじっていったもんさ
「ぱぱーあ、泌尿器科の病院ってもうかるかしら?
同級生の子がね あっちこっちで研修して
今度帰ってきたの、親の小児科のクリニック継ぐんだっ
て?
うふふ、どんなふうにして・・・?」
「医者って、お金ざくざく
私、セレブになるの
あのベルサイユのばらのようなうちで
ブランド物を買い集めて、着飾って歩くのよ
習い事して
顔を磨いて・・・ふふふ」
足を組みなおしていったもんだ
金柑頭の
きんきらきんは
お口は真っ黒