ひとり言 ひとつふたつ詩集

沖縄から詩をつぶやきます。

うた

2022-03-24 22:18:35 | 日記
                        うた


                   うたこ
                   きこえているか
                   はるか向こうではなく
                   ほらすぐそばにいるよ
                   さびしがることはない
                   いつでもみているし
                   どこででもよりそって
                   てだすけしているよ

                     懐かしく
                     そこで向かい合って
                     語らっている
                     こんな世の中だから
                     アクリル板が1枚間を取り持っている
                     だけど         
                     ほら
                     ちかいでしょ
                     境目はない
                     こっちとあっちは
                     連続した世界
                  
                  うたこ
                  あたまをなでているよ
                  よしよし
                  よくがんばっているよ
                  いつでも
                  どこでも
                  見守っているからね
                  いつも
                  いっしょにいるからね

                  うたこ
                  耳の奥で
                  いつも
                  つぶやいている

                  うたこのうた

                  いつもうたいな

2022-03-20 23:12:21 | 日記
                        貝


                    かかりんかかりんか
                    むかしむかし
                    兄のもっていた
                    ロシア民謡集を
                    何度も聴いたよ

                    耳の奥で
                    いまでも
                    急に鳴り出す
                    哀愁の曲
                    
                    幼い頃の風景と重なって
                    胸が締め付けられる
                    夕日の沈む
                    向こうで
                    手を振っている
                    懐かしい人たちが
                    笑顔で
                    こっちをみているよ

                    難しかった時代をくぐりぬけてきたひとたちよ
                    用意してくれた
                    難儀のない時間だったはずなのに
                    どうして
                    火の中に取り残されたり
                    瓦礫の中で
                    その重さに
                    押しつぶされそうになるのだろう

                    そんなはずはないだろうに
                    みんなみんな
                    しあわせにおだやかに
                    暮らしていると
                    思っていたはずだろうに

                        逃げなさい
                        隠れなさい
                        大空に
                        飛びなさい

                        大統領閣下さま
                        兵士たちの涙の手紙を
                        受け取り
                        もうやめてください
                        あなたひとりの戦争は

                        破壊した街の姿
                        
                   民謡で満たして
                   その耳を
                   ふたをするのなら

                        
                    
                    

3月の涙

2022-03-18 22:52:18 | 日記

                       3月の涙

                    3月は新しい未来の始まり
                    のはず
                    が

                    冷たい雨が降りしきり
                    地がわれ
                    風が吹きすさび

                      戦火の
                      痛ましい画面
                      白煙
                      黒煙を吐き出す
                      瓦礫の街
                      
                    3月は新しい風がそよぐ
                    はず
                    が

                    追われ
                    にげまどう
                    耐えることさえ
                    考えられないほどの
                    耐えられない悲しみ

                      ある人がいったよ
                      風景になんかに
                      意味を見出すか

                      意味を与えるのは
                      ひとで
                      風景は
                      一瞬で変わることもあるって

                   じりじりと
                   どうしようもない
                   事態の前では
                   この手のひらの
                   この指の分で
                   できることを考えること

                   自分ができることを考えること
                   ひととして
                      



                    
                    

                    

青い

2022-03-13 22:08:40 | 日記
                       青い


                    ぽっかり
                    青い空に雲

                    今日もいい天気
                    洗濯をして
                    青空にさらしたよ

                    青い空の下
                    心晴れやかに
                    あたたかい風に
                    吹かれて

                     しめった体
                     足取りも重く
                     目の中で
                     写真やテレビのむごい風景が
                     やきついて離れない
                     2022
                     1935から続くぬかるみ
                     何もみなければ
                     世界は何も起こっていなくて
                     楽しいことばかりだろか
                  
                   消えていった
                   雲
                   青い空
                   「青い山脈」は一瞬の出来事か

                   ささやかなしあわせは
                   壊れやすいものかもしれない
                   大きな力の前では

                   力を持つものは
                   その足元の草花を踏まないように
                   そっと
                   そっと
                   歩いてくれ

                   どかどか
                   どっすんどっすん
                   と
                   すすまないでくれ
                   お願いだから

                   青い空の下
                   小さな花が
                   風に揺れているよ

                    

大うそつき

2022-03-12 23:58:40 | 日記

                        大うそつき

                    闇夜の
                    蝶
                    ひらりひらり
                    どうしようもなく
                    ひらりひらり

                    立ちつくして
                    ただ見ているしかないので

                    うつむいて
                    目を閉じ
                    首をふり
                    唇はゆがむ

                    ひらりひらり
                    楽しいはずの美しい景色は
                    もう信じることができず
                    嘘っぱちで塗り固められた
                    
                    1935年に
                    生きているのかもしれない
                    話を聴いただけの物語が
                    テレビの中で繰り広げられ
                    目を背けてしまうよ

                    このまま
                    泥沼に引きずり込まれて
                    
                    沖縄の泥だらけの震える少女
                    ベトナムの逃げ惑う裸の少女
                    そして
                    大声で泣きながら一人歩く少年

                    繰り返される
                    胸の痛み
                   
                    このまま
                    平和そうな日常が
                    続くのか
                    テレビの中の戦場が
                    流れ出て

                    こちらに染み出てくるのか

                    もうみたくない
                    
                    そこかしこのうそつき