ひとり言 ひとつふたつ詩集

沖縄から詩をつぶやきます。

袋ーコールサックにー

2022-10-30 23:26:52 | 日記
                        袋ーコールサックにー


                    その袋に詰め込まれたものを
                    こわごわと
                    手を突っ込んで
                    捕まえようとした

                    なんだかよくわからない
                    熱っぽくて
                    正直で
                    まっすぐな
                    かなり
                    熟しているような
                    でも青いような
                    夢に満ちているが
                    時に
                    絶望してしまうような
                    難しい

                    袋から
                    勢いよく
                    あちこちに
                    飛び出して
                    とめようがない

                    熟しているが
                    まだ
                    ぴちぴちしている

                    その言葉たちに
                    はっとなって
                    
                    うきうきと
                    手をたたいて
                    跳ね回ったのだ

                    平和通りで
                    はじめて
                    こどものマネキンをみたときの
                    母に連れられたわたし

                    まだ小さなわたしに
                    夢を与えた
                    あの商店街のきらめいた
                    袋

                    コールサックという名の本


見渡せばごみー記憶のかなたー

2022-10-22 23:06:41 | 日記
                        見渡せばごみー記憶のかなたー


                    久しぶりの外で
                    周囲を見回したら
                    白いおひげで
                    ある女(ひと)は
                    腰が曲がり
                    
                    あんなに
                    胸をつきだして
                    誇っていたのに
      
                    お酒を買いに
                    階段を下りたら
                    よろけて
                    転げ落ちて
                    額がぱっくり
                    
                    表で
                    起き上がれずに
                    たまたま通りかかった知らない人に
                    助け起こされ
                    救急車で
                    運ばれた

                    自分が
                    何をしているのか
                    よくわからなくなり

                    胸に札束を抱き
                    
                    哀れとも思わず
                    恥ずかしさもなく

                    気遣いの女(ひと)は
                    不機嫌に
                    なに?
                    そっちにはいないよ
                    お知らせすればいいの?
                    と
                    優しかった声は
                    どこにいってしまったのだろう
                   
                    年月が
                    引き裂いた
                    ぺったんこのするめ
                    味も何もなく
                    ただのゴムの切れ端
                    
                    何が変えてしまったのか
            
                    他人のことは言えぬ
                    輝きのうせた目は
                    しょぼしょぼのまぶた
                  
                    古い写真と
                    茶色になった原稿用紙の束を抱えている
                   

空のおなべ

2022-10-15 23:37:06 | 日記
                       空のおなべ


                    こんばんは
                    最近は
                    どうお過ごしですか
                    寂しくはないですね、きっと
                    ふたりそろって
                    たずねてきましたか
                    お土産は
                    ビールと焼き鳥だったでしょう
                    毎晩
                    煙を周囲に撒き散らかして
                    いっしょうけんめい焼いてくれて
                    いっしょうけんめい
                    お腹はすいていなかったはずなのに
                    おいしそうに食べて
                    おいしそうにビールを飲んで

                    ふたりとも
                    おとうさんの年齢を追い越して
                    兄弟のようにすわっていますか
                    お母さんも隣にいますか

                    おとうさん
                    おとうさんが期待し
                    将来の姿を楽しみにしていた
                    お兄さんが
                    今までたくさん診て来た患者さんと
                    同じ病気になってしまった
                    なにもかもわかっているから
                    なんにもいえない

                     胸の奥で病気が暴れているって
                     つぶやくから
                     なにもいえない

                   お母さん
                   どうしたらいい
                   このまえ
                   お母さん直伝のスープを作ってもっていった
                   空のおなべがかえってきたけど
                   どうっだっただろうか
                   星のついたご馳走を食べなれているから
                   
                    さみしいよ
                    ひとりひとり
                    お父さんとお母さんのところへ
                    いってしまうから

                  どうすればいいのだろう
                  空のおなべに
                  少ししょっぱいスープをみたして
                  
                  またもっていこうか
               
                  あした

                    

現代人類館事件ー辺野古でのことー

2022-10-13 15:11:07 | 日記
                       現代人類館事件ー辺野古でのことー


                   ぼさぼさの頭
                   外にでないから
                   どうでもよくなる

                   硬直した舌
                   誰にも会わないから
                   ことばを節約する
                   ときには
                   なにも発することはない

                   パソコンに向かい
                   こそこそと
                   書き込む
                   狭い世界のひとりだけの
                   つぶやき

                   ほら
                   漢字は
                   パソコンが択んでくれる
                   
                   指紋がだんだん磨り減り
                   誰でもない
                   闇の住人

                   顔がないから
                   どんなことでも口にする
                   指が勝手に動き
                   思考しない

                   ただ
                   いいねボタンの数字に
                   
                   快感

                   むかしの
                   「セーラー服と機関銃」
                   の快感とは
                   はるか遠く

                   そんなに
                   けなされるとね
                   ことばがね
                   吃音どころか
                   でてきやしない

                   硬直した舌は
                   とげとげの猫舌

                   固まったからだは
                   「人類館」の展示物か

                   いまも
                   展示物か

                   はらわたにえくりかえるの
                   薄目のつるつるてん

                   似たようなもんか
                   こそこそ

                   あっちは有名人らしい
                   そこんとこは負けている
                   かおだしの
                   うしろにえんじょう者をかかえているらしい
                   
                   論外と無視したいが
                   若者がさ
                   ついていってさ
                   あんたがたなにさの
                   なにも考えずの
                   そうだそうだの
                   泡沫
                   になるなよ

                   せめて
                   自分の足でいって
                   自分の目で
                   確かめな

                   若者よ
                   
                   深く考えな
                   大馬鹿者よ
                   とはいえ
                   へらへらと嗤うんだろな



                   
                   
                   
                   
                   
                 

10月の標語

2022-10-01 11:29:24 | 日記
                       10月の標語


                   10月は
                   真っ赤な葉っぱを燃やして
                   
                   茶色になったからだを
                   もう一度
                   甦らそうと
                   焦がして

                   猫舌の
                   じゃりじゃりを
                   研いでいる

                     消えていく炎を
                     見るたびに
                     いたむ
                     このひと時を
                     おしむ
                
                     ねばねばに
                     かわいていく
                     のどに
                     冷たい水を
                     流しいれ

                  吐き出すことばが
                  空気を押し
                  人を押す
                  という
                  この圧

                  こころして
                  はきだせ

                  10月の標語