ひとり言 ひとつふたつ詩集

沖縄から詩をつぶやきます。

とらうま

2023-05-31 23:32:08 | 日記
                       とらうま


                  6月は
                  月桃の花が
                  うつむき
                  地面に
                  雨粒が
                  滴り落ちていく

                  庭に
                  小高い丘の雑草の中にも
                  
                  ほら
                  月桃の花の歌が
                  流れてくるでしょう

                     重く
                     息が苦しくなる
                     台風前の
                     あたりから
                     くるぞ
                     くるぞ
                     と
                     向こうからやってくる
                     嵐を
                     向かい撃つ気で
                     対峙する

                  おまえほど
                  恐ろしい思いはしなかった
                  ただきいていただけで
                  その地獄図は
                  観ただけで
                  目に焼きつき
                  こころに
                  爪あとをのこして

                     台風のあとは
                     何もかも引きちぎれて
                     残骸だらけなんだ

                     もう観たくない
                     避けていってくれ
                     と
                     祈るしかないのか

                     あらゆる予防策をたてて
                     玄関の取っ手を
                     縄でぐるぐるまきにして
                     誰も入らないようにしてやる

古いbB

2023-05-28 22:04:40 | 日記

                   古いbB


             スーパーマーケットの駐車場
             霧雨に煙っている

             bB
             兄のお気に入りの車
             ずっと乗っていた
             がたがきたら
             直し
             
             bB
             雨にぬれて
             寒そうだ
             持ち主をずっと待っている
             廃車にできず
             毎日エンジンをかけ
             洗車し
             1週間に1回は
             街をぐるっと回り
             
             bB
             屋根の塗料がおちかけ
             エンジンをかけると
             悲しくないて

             CDは
             カーペンターズ
             繰り返し
             繰り返し
             曲が
             流れている

             この道をまっすぐいけば
             兄が通っていた職場がある
             となりの市場には兄の好きだったパンがある
             
             だけど
             もう
             bBの持ち主の兄がいない

             

              
             

1万7千歩の旅

2023-05-25 00:18:52 | 日記

                1万7千歩の旅


            じりじりと陽がさす
            鈍角の方向

            人波がおしよせて
            帆は
            無風に流され
            行く先が見えず
            やみくもに歩いている
            地図にはない道

            もし
            何年か前ならば
            わくわくと
            うれしそうに
            スキップをしていただろうか

            いま
            歩いている足は
            まじめな歩幅の
            二足歩行

            紫陽花の咲く
            学園に
            たどりつき

            いったりきたりの
            くるしい胸のうちを
            かくして

            ふりむかず
            足跡を
            残している

応援か

2023-05-12 23:08:23 | 日記

                     応援か

                  ふやけた
                  ぶよぶよな
                  
                  ささることもなく
                  痛みもなく
                  かなしみが
                  しみだして

                  ふやけて
                  ぶよぶよと
                  たぽたぽと
                  いきているのか

                  なにが
                  どうなったのか
                  
                  ながしたなみだは
                  液体から気体へ
                  もうない

                  いつのまにか
                  乾いて
                  かさつき
                  ざらざら

                  なにが
                  どうなったのか

                  沸き立つ
                  やかんが
                  すっからかんで
             
                  すすけている