ひとり言 ひとつふたつ詩集

沖縄から詩をつぶやきます。

馬の泪

2017-11-30 23:12:33 | 日記

                    馬の泪



                 馬のすけは
                 落としてきた
                 あたたかいたてがみを
                 拾い集めようと
                 細い脚を
                 必死に
                 ふんばって
                 歩いている
                 ほねばった
                 背中
                 

                 頭の割れた子や
                 あまりに小さく生まれたので
                 チューブだらけの赤子を見すぎたので
                 笑うことを忘れ
                 緊張の鼻が
                 たれさがってきて
                 顎をあげる癖がついてしまったのだ


                 おろし金の上の人生
                 針のむしろの上の人生



                 だれもが
                 そして
                 だれもが
                 おろし金や針をふみつつ
                 たいらにならして
                 

                 やさしい風に吹かれ
                 

                 馬の目にも泪
                 

あかいリボンの風船

2017-11-29 21:38:27 | 日記


                      あかいリボンの風船


                  そこでささやいて
                  耳元にそよ吹く
                  



                  小さく笑っている
                  声は
                  やさしいので


                  耳元で
                  そよそよ
                  冬に向かうには
                  まぶしい陽射しが残る



                  白い雲の果てに
                  広がる
                  あおい
                  あおい



                  そら
                  の下の
                  小さな
                  あかい
                  リボンで結んだ風船



                  飛ばして
                 
                  

                  

                 
                  

狂った馬

2017-11-25 11:44:32 | 日記

                    狂った馬



               馬のすけ
               

               鼻息荒く
               いきなり歯をむき出しにして
               いなないた
               あしをあげ
               思い切り蹴った



               あの顔
               鼻の穴が見えるほど
               顎を上げ
               見下ろして
               あな
               おそろしや


               
               映像が流れた
               カッコーの巣の上で
               表情のない看護婦さん
               薬を盛る


           
               お仕事に真剣に邁進するほど
               その顔から
               そぎ落とされていく
               あたたかな人間のやわらかさ
               硬直して
               叫び声をあげて
               わめいているようにしか見えない
               仕事内容を伝えるとか
               何が足りないのかが
               わからない
               ただこの仕事からうまれでる
               やるせなさが
               激しい鼻息になって
               蹴り飛ばす
               馬の足にしかなっていない


              
               どす黒いストレスが
               自覚できていない
               その馬の細長い顔を
               まじまじとながめた


         
               いななく
               狂った馬
               

希望の虹

2017-11-24 23:12:14 | 日記
                   希望の虹




                はしり
                はしり
                ぱしり


                しりのさきのしっぽ
                追い越された
                青い車に
                青いのは
                わたしだった


                苦虫噛みつぶして
                しわしわ
                日々
                時間に追い立てられて
                酸化
                しなびていくリンゴの中身
                リンゴの皮


                だけどね
                悔しくないのはなぜ?
                捨ててしまえば
                胃の中の酸味も
                和らいで
                


                しくしく
                痛みが
                涙に変わるかと思ったら
                涙もでやしない



                まだまだ
                どこに
                いくのか


                そのゆびを
                そっと
                にぎり
                同じ
                景色を
                見ることができたら



                それが
                同士
                同志
                というもので
                希望の虹
                

2017-11-22 20:17:42 | 日記
                   




               あぶら
               かた
               ぶら



               ぶら
               ぶらり
               ぶらり
               ぶら
               ぶら



               ぶら
               ふら
               ふらり


               あっ
               たおれた
               あたまにきて
               ちゃぶ台返し
               かなり
               非常識な
               なにをかいわん
               

               
               いわんのばか
               いわないばか
               だってさ
               いえないさ
       

               閉じた瞼が
               哀しくて
               見つめ返していた
               瞳が閉じて
               心も閉じて
               がちゃり
               がちゃりんこ


               りんごと
               りんとした
               珈琲を
               飲み込んだ


               むせて
               痛む


               喉の奥の
               ひっかかった
               小骨
               よくわからない
               骨


               かちゃ
               かちゃ
               鳴る
               骨