ひとり言 ひとつふたつ詩集

沖縄から詩をつぶやきます。

4月の風

2019-03-28 22:38:12 | 日記

                   4月の風



               4月の風は
               湿って
               いる



               別れの寂しさと
               新しい出発の期待が
               風に湿気を含ませる


               熱い涙を
               ほほに触れる
               4月の風が
               持ち去って
               そこかしこに
               しとしとと
               落ちて


               土を
               湿らせ
               若い芽を
               育てる


               4月は
               夏への出発点


               疾風怒濤への入り口
               
               

慟哭の海ージュゴンへー

2019-03-19 20:26:44 | 日記
                   慟哭の海ージュゴンへー



               赤い涙を流して
               君は
               苦しい海をさまよったのか
               青い海が
               赤い土で汚されていくなかを
               泳いで
               息苦しくて



               痛々しく傷ついた
               君の姿に
               みんなが涙を
               流しているよ



               赤い
               赤い目は
               ずっと
               海の中で
               赤い土を見ていたのか
               君は


               君のいない海は
               うめき声を上げて
               ないているよ


               聞こえているか
               海の慟哭が


               青い海が
               叫び声をあげている             


               ごうごうと
               なる
               海の音
               うねりを上げて
               その赤土を
               覆って



               紺色の海に戻してやる

置いてきぼり

2019-03-17 20:01:27 | 日記
                   置いてきぼり



              時間が
              急ぎ足で
              行き過ぎるから
              ついていけなくて
              立ち止まり
              立ち止まり



              置いてきぼり



              紙コップの珈琲を
              飲み残し
              夕方の風が揺らす
              木々をみていたら
              

              不意に
              「このアプリはね、こうやって使うと
               無料よ。」
              声の主は
              3名のガラ系の女子
              白い髪


            
              コマーシャルの場面みたい



              置いてきぼりは
              私一人だけではなくて
              世界が
              それぞれをおいて
              駆けている



              それぞれを
              措いて
              

              われ関せずの
              はれものに
              触れない
              無責任な
              キズナ

        
              なずなのにがさ
              

              成長期の節々の痛さと
              認められないひざの痛さと


              100年人生を謳う
              無理やりさ
              
              
              

門出に

2019-03-16 10:59:23 | 日記

                    門出に



               卒業式の会場は
               春のお花畑
               はかまと髪飾り
               笑顔
               満開


               桜色の頬
               青空の映る
               瞳の輝き
               


               はちきれるほどの
               未来への希望が
               空遠くへ
               飛んでいる


             
               新しい時代の子に
               未来を託そう
               

               サンシンを緊張しながら
               爪弾き
               調子はずれの沖縄歌を歌う
               短いスカートと
               高いヒールの
               未来の看護師たち


           
               下をうつむくことなく
               踏ん張って
               その道を歩け
    
               
               
               

いのりー追悼3.11ー

2019-03-10 09:38:45 | 日記


                  いのりー追悼3.11ー


               ぼくのいのちは
               ぼくのご先祖様が長い時間をかけて
               つないできたもので


               洞穴で
               かやの屋根の下で
               あばら家で
               しっくいをつめた瓦屋根の軒下で
               つないできたもので



               あめかぜをしのいできたのだが
               いつのまにか
               ものがあふれて
               しあわせが
               あふれて
               こぼれてしまい
               しあわせをなくしてしまった



               しあわせがなんなのか
               わからなくなってしまい
               迷い子

               
               だけど
               誰かと話をし
               ものが食べられるということ
               

               歩いて
               出かけられるということ


               空を見ることができるということ
               風が感じられるということ


               
               生きていることが
               普通にわらえることが



               しあわせなのだと
               わかったんだよ