ひとり言 ひとつふたつ詩集

沖縄から詩をつぶやきます。

暗闇

2023-04-26 22:33:59 | 日記
                      暗闇

 
                 怒りは
                 どこから
                 やってくるのか
                
                 怒りが
                 わからなくなり
                 なにに怒ればいいのか
                 ぽかんとしているうちに
                 その手は
                 もう
                 のっとられている

                 こぶしを
                 どこにふりあげたらいいのか
                 わからなくなり
                 手のひらをすりすりと
                 すりよる
                 腰つきは
                 いそぎんちゃく

                 怒りが磨り減り
                 じゃりじゃりと
                 砂の
                 こすれる音

                 とかとんとんのような
                 板の上を
                 つーと流れる
                 水の音
                 音なんてないはずの
                 綿菓子をかむ音

                 あちこちに
                 すでに煙がくすぶり
                 焼き焦げる

                 まっくろけの
                 冷えた土に
                 流れることのない
                 涙が
  
                 すーすーと
                 隙間風
                 初夏なのに
                 寒い

                 穴の空いた障子
                 さみしい
                 覗き見をしている


                 

                
                 


                 
                 

ふんじん

2023-04-20 00:11:54 | 日記
                       

                       ふんじん

                  白く
                  かすんだ空
                  遠くで煙っている

                  遠くから
                  流れて
                  近くへ
                  飛んできた

                  空いっぱい
                  覆い
                  落ちてくる
                  砂粒

                  遠くで黄色
                  あたりを
                  染めつくし

                  青い空
                  白くかすみ
                  落ちてきたときには
                  蝕む

                  あたりは
                  煙
                  ふんじん

                  しし
                  ふんじんの
                  けはい

                  
                 

肉親

2023-04-17 23:16:19 | 日記

                  肉親


              とーちゃんは
              悲しい顔をしていた
              あれほど
              可愛がっていた子が
              赤い唇に
              魅せられて
              羽根を広げて
              飛び去ってしまったから

              とーちゃんは
              自分の手の中で必死に守り
              ほしいものは
              有り金はたいて
              与え
              どんな子にも負けないように
              してあげたのに
              根こそぎ
              奪われてしまったようで
              落胆したのだ

              とーちゃんは
              悲しみのあまり
              毎日
              玄関に座り込み

                涙の海で
                八つの足がはえ
                足をはみ
                噛み
                噛み切れず
                何度も噛み
                とうとう
                足も身も
                ちぎれてしまった

             とーちゃんは
             なみだで溶けてしまい
             消えてしまった

             最初に失った
             肉親

                
               
              

弔う

2023-04-12 00:49:16 | 日記
                   弔う

               四十七年

               はるか向こうと思っていたら
               あっという間で

               はるか向こうからふいにやってきた
               手紙に
               胸をつかれ
               遠い日々が鮮やかに浮かび

               はるか向こうからやってきた
               見知らぬ老いた教師の
               「ぽんかす」と
               投げられた言葉を思い出し

               はるか向こうと思っていた
               未熟者の幼い自分の
               雑草の生い茂った深いジャングルに
               迷い込み

               何のことはない         
               途切れてはいない
               今までの自分を引きずって
               過ごしていただけで

               ほんとに
               「お変わりなく・・・」

               錆びて
               赤茶けた
               厚顔無恥を
               さらけだして歩いている
               今も
               ためいきをついて
               きょうも日は暮れていく

                 きょうもくれいく
                 いこくのおかの
                 青年だった父の
                 命日の日に


スーパー

2023-04-07 21:09:34 | 日記
                      スーパー

                   カートの上下にかご
                   2台ともあふれるほどの食材

                   小柄なおばさんは
                   とまどいながら
                   セルフレジの前に立っている
                   入れなおしてください
                   の機械の声におろおろし   
                   店員が駆け寄って
                   カードの向きが違いますよ
                   といって
                   離れた

                   セルフレジが
                   手を離してください
                   と繰り返している

                   おばさんの手は
                   ますます
                   戸惑い
                   レジの扱いが進まない

                   その隣の会計を済ました
                   おばさんは
                   もうめんどくさい
                   この店には二度とこない
                   とはき捨てるように
                   いった

                   いつも店員が立っていた
                   レジには
                   機械が並んでいる

                   お客さんのおばさんたちは
                   おろおろと
                   機械のレジを前にしている

                   まちやぐわーが消えた日
                   大きなスーパーが
                   景色に覆いかぶさり

                   家々のものは
                   スーパーがそろえ
                   お金を吸い込み
                   胃袋を満たした

                   ピコピコとなる
                   セルフレジに
                   指示されて
                   お金を吸い取られている

                   言葉をかけることもなく
                   店員は
                   お客を
                   監視してる
                   風景

                   ピコピコピー
                   機械の合図で次に移る
                   手と足