ひとり言 ひとつふたつ詩集

沖縄から詩をつぶやきます。

おいらくの来い

2024-07-14 21:36:29 | 日記
                   おいらくの来い

                 ふらっと
                 いってみる
                 懐かしい場所

                 ふらっと
                 な
                 何もない毎日
                 ひとりごとを
                 いっていると
                 迷路が消え
                 薄ぼんやりした
                 景色
                 ぺらぺらの紙

                 誤字だらけの
                 あの気分は
                 もどってこない
                 夏の日々で

                 あんたの顔を思い出したら
                 いらいらと
                 気分が悪い
                 腹の立つ記憶で
                 記憶を消そうと
                 消しゴムを手に取ったら

                 なにもなかったことになるかな
                 と
                 記憶がうすぺっらになって
                 ぺらぺらの
                 老いらくの恋で

                 雲散霧消
                 遅れてやってきた青年は
                 あまり遅れすぎで
                 つまずいて

                 もう
                 そこには誰もいない
         

7月の雷鳴

2024-07-07 15:12:44 | 日記
                     7月の雷鳴

                  7月の雨は
                  雷鳴とともに
                  大粒で落ちてきて
                  草のにおいが
                  むーんと
                  熱気を連れてきた

                   夢を見たんだ
                   歩いているんだけど
                   どこからきて
                   どこを歩いているのか
                   わからない
                   以前に歩いたことが
                   あるような

                   だれもいないが
                   さみしくはないんだ

                   一人で歩いているんだけど
                   だれかが横にいる気がして

                 風
                 冷たい風
                
                 熱気のなかの
                 冷たい風が
                 ほほを
                 かすめていった

                 もう
                 もどれない
                 このまま
                 歩こう
                 そうするしかない

                  
                   
                  

                  

泥の骨ー七十九年目の慰霊の日にー

2024-06-23 12:39:01 | 日記

                 泥の骨ー七十九年目の慰霊の日にー

           横殴りの雨が降っていた
           落雷
           胸を突き刺す

           雨の六月が近づくと
           床がカタカタと鳴る
           雨が続き
           雨が道を覆い
           溝からあふれ
           畑を浸し
           木々をなぎ倒し
           緑の葉をひきちぎり
           森を白くくもらせ
           鉄の暴風雨が島を襲った

           六月が近づくと
           夜ねむれないおじさんが
           枕元に訪れるひとたちと
           話しをはじめる
           「わたしたちを探して
            あそこの床下に
            ここの床下にもいるから」

           胸がざわめき
           ざわざわと
           さとうきびが揺れうごくから

           おじさんは
           床をはがし
           地面をほり
           さがし   
           つきとめた

           そこには骨
           泥にまみれ
           黒くなった骨が
           いた

           七十九年にもなるというのに
           島の家々の床は
           いまも
           カタカタと
           鳴っている

                    

2024-06-17 00:23:07 | 日記
                     

                曇り空の大通り
                ごった返している知らないことば
                どこを歩いているんだろう
                と思わず辺りを見回した

                なつかしい  
                看板があるけど

                もはや
                異国の迷路
                知らない街

                  奥の暗がりで
                  ごそごそと
                  お豆売り
                  小豆や青豆
                  昔のお商売
                  古い木造のうちのにおいがした

                  表札には知った名前
                  仲のよかったクラスの子の名
                  島の都会で
                  置き去りにされた
                  お豆売り

                あの漫画の石売りと同じ

                川原で石を拾っている
                私の影

なぐさめる

2024-06-17 00:11:56 | 日記
                     なぐさめる                 

                  しょんぼりの
                  ひざに
                  ねこがとなりにきて
                  そっと
                  なめた
                  「うん、だいじょうぶだよ             
                    ありがとう。」

                  いつもは
                  じゃりじゃりの舌
                  そっとなめるから
                  おもわず
                  返事をしてしまった

                  さみしくない昼間の
                  ひとりの床の上