ひとり言 ひとつふたつ詩集

沖縄から詩をつぶやきます。

茶話会

2015-02-26 13:47:36 | 日記

                      茶話会


                 そっと
                 隙間に
                 風が吹き込んできてさあー


                 さぁー
                 さぁー


                 「かあさん
                  かあさんはえらかった
                  わがままなこどもたちを
                  大きくした上に
                  ひとりひとりを心配して
                  援助していたね           

 
                  知らなかった
                  母さんの苦労




                  このまえね
                  母さんの友だちの家を
                  訪ねようとして
                  路地で
                  迷子になって
                  同じところをぐるぐる
                  下をうつむいて
                  困った困った
                  寒いし
                  どうしよう
                  来た道を戻って
                  最初からたどってみようか
                  以前に母さんと来た道
                  思い出して


                  と
                  ぶつぶつ
                  つぶやいて
                  顔を上げたら
                  見覚えのある
                  曲がり角のミラーを
                  見つけたよ



                  かあさん
                  うしろからついてきて
                  ここに連れてきてくれたんだね」



                  冷たい北風さあー


                  さぁー
                  さぁー


                  「もうすぐ
                  春が来るよ
                  かあさんの友だちに
                  かあさんと一緒に来ました


                  こんにちは
                  元気だして
                  


                  一緒にお茶を
                  いただきましょう
                  って
                  伝えておいたから」                           

                  



                 
                 

ねむれない

2015-02-26 09:42:59 | 日記

                     ねむれない


                ねむれない夜には
                ぐちゃぐちゃの
                雲の上で
                ねばねばと
                繰り返し繰り返し
                繰り言




                胸のつまることは
                すべての人の胸も
                つまり




                ことのつまりは
                この世界の裂け目で
                クレバスで
                地層の違いで
                揺れ動いて
                噴火を起こす
                活火山


            

                活火山の上で
                右往左往の
               

 
                売り買いで
                忙しく
                心なくして
                亡国の徒




                こころなんて
                ないに等しいか
                脳内回路の異常なるかな




                がだるかなるに
                涙の雨が降る



                降り方を知らずして
                幾代の
                犠牲


                いまだに
                続く雨よ
                雨の中で行進する
                われらは
                どこへ行くのか
                
                
          
     

なだそうそう

2015-02-23 15:04:54 | 日記

                   なだそうそう


                涙が
                流れたよ
                思わず




                海の珊瑚が
                コンクリートの重さに
                踏み壊され



                丘の緑が剥がされ
                土色がむきだしになり
                重機に
                乗り上げられて




                島の風景は
                いまだに
                暴風のなか
                



                暴れまわる
                白い手が
                亡国のなかに
                引きずり込み
                


                この土地は
                島のものなのだけれど
                亡国の
                亡国のための
                亡国による


  
                失われた楽園の
                青い空と海
                カチカチ山
                火のついた



                島なのだ


               
                涙があふれて
                そうそう


                そうそう
                その日は
                ニュースの前で
                怒鳴って
                ひとりこぶしの
                

                じだんだ


                
                


 
                

ふるさとの風

2015-02-19 16:40:57 | 日記

                   ふるさとの風


               目を閉じて
               しばらく
               静かに
               静かに


               ふるさとの風を想い


               風の行方を追い
               風の香りを確かめ
               風に吹かれてみる



               陽の光は穏やか
               もうすぐ春
               風は時折暖かい



                
                  棘が解けていく
                  悲しみがほどけて
                  風にのって
                  雲の彼方に飛んでいく



                  傷口が
                  かさぶたで覆われて
                  水泡の中に



                  水の重さ
                  海の水の重さ
                  命の重さ
                  途切れることなく続いてきた
                  糸




               霞む空の下で
               春の光をうけて
               うつらうつら



               思い浮かべる

               旧正月の
               ふるさとの記憶

ぼくは胸がつまった

2015-02-17 13:19:50 | 日記

                    ぼくは胸がつまった



                きのうは
                1日中
                暗闇の中で
                真ん丸に
                丸まって



                穴蔵



                袋を
                空にし
                真っ白にして
                詰め込んだものを
                はきだし
                



                     ぼくは
                     はかなんだ
                     この世界地図は
                     すべて
                     つながっていて
                     端っこから
                     火をつけるものが
                     いるんだ
                     と



                     ぼくは
                     モノクロの
                     世界に
                     気が滅入って
                     閉じてしまいそうで



                     春が近いというのに
                     



               暗い
               足音が
               知らない間に



               背後にある