茶話会
そっと
隙間に
風が吹き込んできてさあー
さぁー
さぁー
「かあさん
かあさんはえらかった
わがままなこどもたちを
大きくした上に
ひとりひとりを心配して
援助していたね
知らなかった
母さんの苦労
このまえね
母さんの友だちの家を
訪ねようとして
路地で
迷子になって
同じところをぐるぐる
下をうつむいて
困った困った
寒いし
どうしよう
来た道を戻って
最初からたどってみようか
以前に母さんと来た道
思い出して
と
ぶつぶつ
つぶやいて
顔を上げたら
見覚えのある
曲がり角のミラーを
見つけたよ
かあさん
うしろからついてきて
ここに連れてきてくれたんだね」
冷たい北風さあー
さぁー
さぁー
「もうすぐ
春が来るよ
かあさんの友だちに
かあさんと一緒に来ました
こんにちは
元気だして
一緒にお茶を
いただきましょう
って
伝えておいたから」