ひとり言 ひとつふたつ詩集

沖縄から詩をつぶやきます。

アンテナ

2014-05-28 13:46:02 | 日記
                           アンテナ



                      今年の
                      五月雨は


                      豪雨で
                      いつものはーりー鐘も
                      きかず


                      びちょびちょに
                      森も
                      白く溶かす





                         不健全な体に
                         不健全な精神は
                         イラついた
                         牙で
                         段ボール箱を
                         くいちぎっては
                         なげ
                         床に
                         広げ
                        


                         健全な体に
                         不健全な精神は
                         筋肉のついた腕で
                         脅しては
                         叩き潰し
                         がれきの山を
                         築き


                         健全な体と
                         不健全な精神は
                         アンバランスに
                         上目使いで
                         顎が上がって
                         鼻息も荒く
                         奥の鼻腔まで
                         見えている





                     いやさっさ
                     大口開けて
                     笑い飛ばすさ




                     でもさ
                     下手すりゃ
                     ゴキブリが生き残るか




                         健全な体と
                         健全な精神
                         なんて
                         誰が決めるんさ





                                            
                      
                      
                      

五月病のやみあがり

2014-05-25 13:40:34 | 日記

                         夢のあとで


                      ここにいる


                      ここにいるのに
                      居場所がないと
                      落ち着かないのは
                      どうしてだろうか


                      大声で
                      「ここにいます」と
                      叫びたいのに
                      すべがないのだ
                      ここにいるまでの
                      過程と
                      やってきたことを述べる
                      中身がないのだ


                      支えている手と
                      顔を映す鏡の
                      存在を
                      認めるという
                      客観性と
                      論理性が
                      欠如しているのではないか
                      と
                      不安になるのだ


                     
                      そんなに難しいことではない
                      ただただ
                      こもりっきりの
                      一日に
                      さみしいと


                      しくしく
                      なく
                      こどもを
                      よしよしと
                      

                      安心させる
                      言葉を紡ぎだす
                      ほどの
                      すなおな
                      自分を


                      さしだす勇気が
                      ないだけなのだ


                      
                      
                   
                      

5月の陽

2014-05-17 12:07:14 | 日記

                         5月の陽


                     たったったっらっ
                     たたたっらっ


                     風薫る5月は
                     きらきらっ


                     陽はまぶしく
                     きらきらっ



                     梅雨の隙間から
                     陽の光



                        5.15は曇り空のかなた
                        まして4.28は
                        えっ、それってなに?
                        わすれちまったでー



                        世は
                        お殿様の一人芝居
                        観客は
                        見ていない
                        うつむいて
                        スマホの画面を指で操っている
                        画面のお殿様にお絵かきをする


                        熱く語った
                        火の元の国を守る方策は
                   
                        ひとりで
                        つば飛ばして
                        うっとり自分の声に
                        浸らないでね

                  
                        あーあー
                        みんなこぞって
                        かくあるべき方向へ
                        進みつつ
                        直角の右向け右


                        あーあー
                        もう火口へ向かう行進
                        しかも
                        あーた
                        他人が飽いた火の燃えあがる
                        ところへ行こうというんだから

                

                     たらたらっ
                     たったったっ



                     あいも変わらず
                     ごちそうを食べ
                     美しい景色を旅する画面が流れる
                     桜はもう北か
                     はらはらと

                     
                     象徴にされるために
                     はなびらが
                     風に舞っているわけではない


                     ただただ
                     桜は桜を生き切っているわけで


                     美しくと思って咲くわけではない
                     ただそこに在るだけで


                     陽射しは
                     きらきら
                     もうすぐ
                     ぎらぎら
                     焼き尽くす
                        

                      


                        
                        

                      

母の日

2014-05-11 16:29:31 | 日記
                            母の日


                    梅雨の日
                    ひと時の太陽と灰色の雲の
                    切れ間に青い空
                    生温かな風がぬるりと
                    通る




                    片づけをしようと思いながら
                    だらりだらりと
                    午後を過ごしていると



                    肩からすーっと
                    化粧品の香り

                
                    母のおしろいの香り



                    仏間も
                    母の部屋も
                    洗濯物であふれて



                    すみません
                    はい、占領しています
                    だって、ずっと雨だからさ
                    昨日も大雨で
                    コインランドリーで乾かしても
                    間に合わないんだよ

                    と
                    おもわず
                    口をとんがらして
                    言い訳をしている


                    はい
                    今すぐ片付けます


                    今日の洗濯物を干して
                    ほっといたものを
                    整理してみる


                    
                    ケーキはどうか
                    
                    ごちそうを
                    買いに行こうか


                    赤いカーネーションより
                    団子だよね


                    母の日
                   

こいのぼり

2014-05-06 12:25:59 | 日記

                     こいのぼり


               こいのぼりが空にいる
               灰色の空
               水はなく
               ただただ雨が
               鯉を重く濡らし
               だらりの
               こいのぼり


               異常気象の
               初夏だというのに
               ひんやり
               暴風の
               横殴りの雨


                 「ままー
                 このひとがいるから
                 まえにいけない」


                 「なんで
                  じゃまだからどいてっていえばいいのよ」


                 猫の餌を選んでいる私の後ろで小さな声
                 真ん中に陣取っているわけじゃない
                 ゆっくりと
                 選びながら歩いているだけなのに

             

             戦中を経験したものの子は
             苦労をさせたくないという親の願いで育ち
             その子の子は溢れるモノに囲まれて育ち
             その子の子は
             世界の真ん中に自分がいて
             駆け回っている



                見知らぬ大人に突進しても
                その親は知らぬ顔をしている



            あふれかえる人工物と情報に振り回されても
            自分で考える方法さえ与えられずに



            こいのぼりの
            薄い布のなかは空っぽ


            青い大空に
            意気よいよく
            泳ぐ日


            こどもが
            未来ならば
            カラフルに
            
            もう一度
            青い大空に泳げ