ひとり言 ひとつふたつ詩集

沖縄から詩をつぶやきます。

梅雨

2012-04-29 18:04:15 | 日記
    



              梅雨の景色



               風が海の向こうから
               湿り気を帯びて
               地面を這ってやってきた

               空はどんよりと
               鉛色

               重力に
               曳かれ
               水滴は
               ねばり
               ねばり
               くねっ
               くねっ
               と
               くびれて

               屋根から降りてきた
               
               草は
               つる
               空に向かって
               伸び上がることができず

               天と
               地の
               間を
               彷徨うだけで

               ゆらゆらっ
               と
               路地
               と
               垣根
               を
               ふらついている

               迷うのは
               迷子だからではなく
               重さに
               抗って
               いるから

               風に乗って
               しまえば・・・
               いいものを
 
      
              
                              
               
                                      


                   

琉球へ

2012-04-24 20:18:42 | 日記
       

     

 拝む                うがみ

首里天主御前            しゅいてぃんがなしぃーめぇー
向こうの              あがた
森で                むぃうてぃ
拝みます              うがぁみぃやびぃーん

首里の              しゅいぬぅ
森で               むぅいうてぃ
明かりの             あががとぉーぬぅ
ともったところで         とぅくぅるうてぃ

拝み               うがぁみ
拝み               うがぁみ

拝所               うがぁんじゅ
森の木々             むぅいぬぅきぃーから
瓦屋根の家            かーらーやぁまでぃ
すべて              むるぅ
焼き尽くされ           やっかってぃ 
何もなくなった          ねぇーらんなとーやぁびぃーん

それでも             やしが
首里天主御前           しゅいてぃんがなしぃーめぇー
こんなにも            あん
美しく              ちゅらさぁ
龍潭の              りゅうたんぬぅ
石垣               いしがちぃ
よみがえり            ゆぅみげぇーらちぃ
                 
首里天主御前           しゅいてぃんがなしぃめぇー

おやその始祖は          うやふぁふぃじぃや
崎山の              さちぃやまぬぅ
具志頭親方の血筋         ぐぅしぃちゃんうぇーかたぬぅすじぃ
上江洲のもの           いぃーじぃぬぅむぅんやびぃーん
ここの孫の男子が         くまぬぅ んまがぁいきがわらばぁーが
琉球、首里を           りゅうちゅう しゅいぬぅくとぅ

本に
著しました             すぅむちぃんかい
お読みください           かちゃやびたん
                  ゆでぃうたびぃみそぉーりぃ

首里天主の御前          しゅいてぃんがなしぃーめぇー
首里の森で            しゅいぬぅむいうてぃ
拝みます             うがみやびぃーん

こんなにも            あん
美しく              ちゅらさ
琉球               りゅうちゅう
首里の              しゅいぬぅ
森                むぅい

書き著し             かちゅうくぅち
姿かたち             すがたかたちぃ
たちのぼっております       あらわりぃとぉーやぁびぃーん


                 
 




                  

地球クルーズ

2012-04-15 08:20:58 | 日記


            




                    ちきゅうくるーず
        
                   船底で小さな野鼠が耳を澄まして
                   二本の足で立っている
                   前足を手のひらのように重ねて
                  
                   くぼんだほほが黒ずみ                   
                   飢えた人間の子が食べ物をあさり
                   銃で傷ついた兵士たちが血を流して
                   横たわり
                   女たちが泣き叫んで
                   立ち尽くし

                   天井から
                   ワインがしたたり落ち
                   あまりものの
                   ピザのかけらが
                   時々
                   飛んでくるので
                   それを食い散らかし
                   肥え太って
                   やせ薬を
                   せっせと飲みながら
                   ぜいたくな首飾りで
                   着飾り

                   ダンスをしている
                   中流

                   スイートルームには近寄れない
                   それはそてはおそれおおく
                   とみがあふれ
                   そこにすべてのほうせきとざいほうが
                   あつめられ

                   こんぴゅうたールームで
                   あたまをつくる
                   めぢあ

                   このふねは
                   エンジンルームのねじが
                   ゆがみ
                   ゆれている
                   ねんりょうが
                   タンクから
                   あふれ
                   ゆれている
                   きけんな
                   くるーず
                  
                   海が
                   荒れ狂い
                   けずられた
                   大陸は
                   その軽さで
                   落ちそうなんだ

                   小さな野鼠が
                   耳を澄ませ
                   前足で
                   祈っている

                   このくるーずを
                   守れ
                   すべてが
                   偶然に創造されたにしても
                   このいのちは
                   ひとつの
                   大切な
                   奇跡の集大成なのだから

                                   

                   
                   
                                         

ねこ

2012-04-11 20:12:50 | 日記





               無い

                  呼びかけないで
                  もう
                  そこにはいないから

                  呼びかけないで
                  もう
                  そこにはもどらないから

                  きえてしまったものは
                  もう
                  ない

 


        

         
                   


                    ねこ
                      
                      うるんだ
                      めで
                      みつめていた
                      くるくるとかわる
                      三日月
                      の
                      め

                      ねてしまった       
                      まーるく
                      背を丸めて

                      

                      ねてしまった
                      爪を隠して
                      めを
                      閉じて 

                      距離を
                      はかる
                      ひげは
                      ピクピクと
                      ゆれて
                      やすんでいる

                      もう
                      ねてしまった
                      しめった
                      はな
                      に
                      透明な
                      ちょうちん


          



                             




              

新学期ー入学式ー

2012-04-09 20:21:53 | 日記
       

       入学式

            ふわりと
            春が

            花びらのあいだを
            すりぬけ
            あたたかな
            太陽のひざしを
            たたえ
            少し冷たい風を
            つれて

            やってきた

            4月の若葉の
            あたらしい笑顔は
            すがすがしく
            未来への希望

            葉の上で
            ころがる
            水滴に
            かかる虹のよう