ひとり言 ひとつふたつ詩集

沖縄から詩をつぶやきます。

坂下んかい

2016-04-29 14:29:18 | 日記


                   坂下んかい



             坂下んかい
             ちゅらすがいし
             ゆるゆると
             あっちいかな
             あい
             ぬーなとーが
             ぶーるーとゅーべーし
             車ぬ とぅでぃいちゅん
             あいえーなー
             まーちん くばん ねーらん なてぃ
             うまー まーやがやー

   
             あんし ふーじんねーらん 箱ふーじゃーぬぅ やーびけーん
             かじぃ ん とーらん 海ぬかじぬぅ かばさん ねーらん



             やまぬぅ きーまでぃ たっちうーてぃ
             わったー 墓まで くずちねーらん
             ぬーやるばーが
             文明がすすむんでぃいーしぇー
             


             むる うっちんとぅーし
             すばーひら んーじーんさん
             てぃーぬぅ なーかんかい ぬーやがすらー みーちきて
             いーびー んじゅかさーなかい 耳ぬなかんかい ぬーがらふたさーに
             ぬーんちかん
             ぬーん んーだん


            
             ちゃーがすらー
             あまくま 固みてぃ
             あまくま 土地 ひっくりけーさーに
             

             あいえなー
             くくる
             うちちかん


             ゆるゆるとぅ あっちょーれー きっとぅばさりーさ
             あり、とー
             あきさみよー
             ぬーなとーが





            
                      坂下へ



             坂下へ
             きれいに着飾って
             ゆるゆると
             歩いて行こうかな
             あれ
             どうなっているの 
             砂埃をあげて
             車が 飛んでいくよ
             嘆かわしい
             松も くばの木も どこにもない
             ここはどこなのか

   
             とても 風情も何もない 箱みたいな家ばっかり
             風も 涼しげに通らない 海の風の 香もない 



             山の 木まで 切り倒し
             私たちの古い墓も壊し
             ぬーやるばーが
             文明が進むということは
             


             朝からうつむいて 
             自分のまわりさえも観もしない
             手のひらの中の何かを見つめて
             指を右左に移動させて 耳の中を何かで蓋をして
             何も見ない
             何も聞かない


            
             どうなるのだか
             あちこち草木を刈り取って、コンクリートで固めて
             あひこちの土地をひっくりかえし
             

             あいえなー
             こころ
             落ち着かず
             


             ゆるゆると歩いていけば 蹴り飛ばされて
             あり、とー
             あきさみよー
             ぬーなとーが




                

くまもん

2016-04-22 20:03:06 | 日記

                くまもん



             くまもん
             手足ちぎれて
             雨に打たれ
             ないている




             くまもん
             あかいほっぺの
             くまもん
             



             ただただ
             胸がつぶれて



             必死に
             募金を願い
             引き裂かれているその叫び声に
             近づけない
             その箱に
             いくらでも入れたいのだが
             


             その声だけで
             涙が落ちてくるのだ
             


             こじんまりした駅の
             光景の記憶が
             茶色の写真のままに
             こなごなに
             破れてしまいそうだから



             ほら
             公園の美しい枝も
             



             いのちのはかなさ
             あっちこっちに             
             

ど真ん中で

2016-04-20 20:37:57 | 日記

                  ど真ん中で


           街のど真ん中に
           吸い込まれて
           ど真ん中の
           頭の中
           ど真ん中の人々の中で過ごしている


           
           しごく
           合理的
           まだ
           おどろおどろの
           ほぐれない
           糸はない



           針の穴に糸を通したばかりで
           ゆっくりと慎重に
           一針
           一針



           窓から
           風が
           がなりたてる
           スピーカーを運んでくる
           


           ふーん
           そうきたか
           安心安全は
           装備の中だとよ
           がっちりした盾がなければ
           食いちぎられるとよ
           


           
           街のど真ん中で
           うつむき
           仮面の群集の約ひとり
           無表情に
           帰途

           

           

爆風

2016-04-17 11:16:17 | 日記

                  爆風


           喉の奥で
           飲み込む
           涙
           と
           言葉



                悪魔の手が
                地球の軸をつかみ
                揺らしている
                横に縦に斜めに
                


                信頼をしてきた
                地が
                裂け
                


            冬の日差しのさす車窓を離れると
            こじんまりしたその駅の近くに            
            むかし祖父のいた駐屯地あと
            そして
            目的地の美術館には
            赤十字社が生まれたいきさつを描いた絵が並んでいた





                 近く感じた
                 そこは
                 悪魔の爪痕
                 


                 深い傷痕
                 


                 春の風に
                 悪魔が突然乗ってきて
                 風が爆発した

                
                




                            
        
          




                 




                 





             

午後4時の発声

2016-04-07 20:21:59 | 日記


                午後4時の発声




         
          4月の夕方
          肩にどっしりと
          湿った風
          目を閉じて
          糸を手繰り寄せる
     


          遠い記憶



          過ぎ去った時間を
          夢見て
          歩く
          変わり果てた道に
          立ち尽くし



          がじゅまるの葉擦れ
          もくまおうのしなる音
      


          今はいない人たちが
          集う運動場で
          駆け出せずにいる




          汚れちまった悲しみも
          そう悪くはない
          臆病風に吹かれて
          転んだ膝は
          擦り傷にもなってはいないから




          重く湿った風に
          ひりひりと
          曝している