ひとり言 ひとつふたつ詩集

沖縄から詩をつぶやきます。

ふぐ毒

2023-03-29 20:25:36 | 日記
                    ふぐ毒

              海を渡る
              北から南へ
              海にすむものは
              世界をめぐり
              腹白く
              素知らぬ顔をして
              泳ぎまわる
           
              自覚はない
              うちに秘め
              口にするものの
              呼吸を止めてしまう
              力をもつものもいる

              それを蓄え
              肥え太り
              濃い色で
              奥深く入り込む

              知らぬ間に
              口から
              頭の中に
              忍び込み
              黒く染め
              白い腹がよどんだものに
              変わっていく

              高級な
              透明で
              おいしいという
              それは
              注意深く
              腑分けして
              吟味し
              見極め
              食せよ

              ふぐ毒

        
              

              

風船

2023-03-28 15:07:59 | 日記


                風船

              
              風船のひも
              しっかり握って
              飛んでいってしまわないように

              ふわふわと
              浮かび
              風に乗って
              ただよう

              風船のひもを
              手にひきよせ
              指にたぐり
         
              強くにぎりしめ
              
              この指は
              地面に立つものの指

              ひとさし指の先

              

ぽつんと・・・

2023-03-26 20:46:27 | 日記

                  ぽつんと・・・


              小雨の夕暮れ
              
              落ちてくる
              雨粒
              ポツリ
              ポツリ

              ポツンと
              ぽつんとひとり

              ゆっくりと
              降ってくる

              閉ざした窓ガラスに

              幼かった日
              暗い
              あつい雲をみていた
              あの頃のように

              ゆっくりと
              落ちてくる
              雨粒

              乾いた地面に
              ポツリ
              ポツリ
              ポツンと

              ぽつんと
              立っている

              地面の上
         
              ひとり

四月の風

2023-03-10 23:45:34 | 日記
                 四月の風

              四月は
              新しい出発の月で
              風は
              少し冷たく
              陽の光は輝いて温かい

              四月は
              冷たい風と暖かい陽が
              交錯し
              寒さで凍えたところに
              光が射してくるのだ

              四月に
              逝った父は
              はるか遠く    
              写真の中で
              いまは穏やかに
              こちらをみている

              痛みに苦しんだ日々を超えて

              四月は
              新芽がうまれる
              
              暖かな土の中から

              四月の風に吹かれて